UN 24/7 CFEが示す、グリーン水素におけるアワリーマッチングの適用

· 脱炭素,サステナビリティ

24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook(ガイドブック)においては、グリーン水素と時間一致(アワリーマッチング)に関する実務的な対応の仕方について説明がなされています。その内容を整理してみます。

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■ グリーン水素の位置づけ

近年、グリーン水素(GH2)は世界的に関心が高まっているエネルギーキャリアとされています。グリーン水素は、化石燃料の代替となるだけでなく、太陽光や風力といった変動性再エネの出力変動を調整する手段としても期待されています。また、電力セクターにとどまらず、輸送や熱利用といった分野においても、24/7 CFEの考え方を拡張する可能性を持つものとされています。

■ トラッキングと電力由来の排出管理

水素は電力と同様に、その生産源を外形的に識別することが困難であるため、「グリーン」であることを担保するためには、厳格なトラッキングの仕組みが必要とされます。特に、水素製造に用いられる電力の属性が重要となり、その電力がどの時間帯に、どの電源から供給されたかを把握する必要があります。

このため、グリーン水素の認証においては、電力由来の排出管理と同様に、時間的整合性や供給可能性といった要素を考慮することが求められています。

■ 24/7 CFEとの制度的な重なり

グリーン水素に関する規制は、24/7 CFEの原則と方法論的に重なる部分が多いとされています。特に、原産地証明(Guarantees of Origin)に関する制度設計において、時間一致、供給可能性、追加性といった要素が重要視されています。

これらは「三つの柱(Three Pillars)」として整理されており、時間的整合性(temporality)、地理的整合性(deliverability)、追加性(additionality)に対応する形で、コンパクトの原則1、2、5と整合するものと位置づけられています。

■ EUにおける制度動向

ガイドブックの解説から離れますが、EUでは、グリーン水素の制度設計において、時間一致を含む要件を明確に取り入れる方向で議論が進められています。特に、再生可能水素に関する委任法(Delegated Act)では、水素製造に用いる電力について、時間単位での一致や新規電源からの供給といった条件が求められる方向性が示されています。

これは、単なる再エネ電力の調達ではなく、実際にその時間においてカーボンフリー電力が供給されていることを証明する仕組みであり、いわゆる時間価値を重視した制度設計といえます。結果として、水素の環境価値は、電力の時間一致の度合いに応じて評価される構造へと移行しつつあります。

■ CBAMとの関係と産業への影響

さらにEUでは、炭素国境調整措置(CBAM)の枠組みにおいて、電力や水素のカーボン強度が輸入製品の評価に影響を与える可能性があります。特に、グリーン水素やグリーン電力を用いて製造された鉄鋼や自動車といった製品については、その生産プロセスにおける排出特性が評価対象となることが想定されます。

このため、時間一致や供給可能性を満たした電力・水素の利用が、将来的に国際競争力に影響を与える要素となる可能性があります。

■ 日本への示唆

このような制度動向は、日本にとっても重要な論点となります。グリーン水素およびカーボンフリー電力の定義やトラッキング手法が国際的に整備される中で、輸出産業を含めた対応のあり方が問われることになります。

ガイドブックで示されている内容は、電力分野にとどまらず、水素を含む広範なエネルギーシステムにおいて、時間一致の考え方がどのように適用されていくかを示すものといえます。今後は、制度・市場・技術の各側面から、その整合性をどのように確保していくかが重要な検討課題となると考えられます。

■国連 24/7 CFEガイドブックの詳しい解説

(解説者:㈱電力シェアリング&アワリーマッチング推進協議会)