UN 24/7 CFEが示した企業基準(Corporate standards)改定の方向性

· 脱炭素,サステナビリティ

24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook(ガイドブック)においては、企業のカーボン会計および目標設定に関する国際基準の見直し動向について説明されています。その内容を整理してみます。

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現在、企業の気候責任の透明性を高めることを目的として、カーボン会計および企業目標設定に関する国際的な議論が活発に進められています。特に、改訂が進められている主要な基準として、GHGプロトコルのScope2、Science Based Targets initiative(SBTi)のCorporate Net Zero Standard、さらにISO14064-1(温室効果ガス報告基準)などが挙げられます。これらの改訂案の中には、24/7 CFEコンパクトの原則と整合する内容が多く含まれています。

■ GHGプロトコルScope2における主な改定方向

GHGプロトコルScope2に関しては、いくつかの重要な見直しが提案されています。

まず、マーケットベース手法において、時間単位(アワリー)でのマッチングの導入が検討されています。すなわち、ゼロ排出を主張するためには、電力消費と同じ時間帯にクリーン電力を調達していることを証明する必要があるという考え方です。従来のように年間集計された再エネ証書では、この要件を満たさない可能性があります。もし時間単位での一致ができない場合、残余ミックス(Residual Mix)や化石燃料由来の排出係数が適用され、結果として排出量が大きく増加する可能性があります。

次に、地理的境界の厳格化も提案されています。すなわち、調達するカーボンフリー電力は、消費地点と同じ「供給可能な」電力系統内から調達される必要があるとされます。この供給可能性は、系統運用エリアや価格シグナル、あるいは契約によって物理的な供給が可能であることを示すことで担保されます。

さらに、ロケーションベース排出係数の精緻化や、時間別データの活用、レガシー条項や段階的導入に関する議論も進められています。これらの改定は、コンパクトの原則1および2と整合するものとされています。

■ SBTi Corporate Net Zero Standardの改定方向

SBTiのCorporate Net Zero Standardにおいても、同様に重要な見直しが提案されています。

まず、ネットゼロ計画において、時間単位でのマッチングの導入が求められています。企業は調達電力について段階的に時間一致の割合を高め、最終的には2040年までに100%の時間一致を達成することが求められる方向性が示されています。

また、ヴィンテージルールの厳格化も提案されています。これは、調達対象となる再エネプロジェクトについて、過去10〜15年以内に建設またはリパワリングされた設備に限定するというものであり、追加性を担保するための措置です。

さらに、カーボンオフセットの利用制限や、バリューチェーン全体での排出削減の強化といった見直しも含まれており、カーボンフリー電力の直接調達を重視する方向性が明確になっています。これらの改定は、コンパクトの原則1および3を支えるものとされています。

■ 今後の位置づけ

このように、企業のカーボン会計および目標設定に関する国際基準は、時間一致や地域一致といった24/7 CFEの考え方を取り込みながら進化しつつあります。これにより、単なる電力量の調達ではなく、電力の時間・場所・追加性といった要素を含めた、より精緻な排出管理が求められる方向にあります。

ガイドブックで示された内容は、これらの国際基準の動向を理解する上での重要な整理となっており、企業にとっても今後の戦略策定における基盤的な視点を提供するものといえます。

■国連 24/7 CFEガイドブックの詳しい解説

(解説者:㈱電力シェアリング&アワリーマッチング推進協議会)