UN 24/7 CFEが示した追加性(Additionality)の定義とは?どう測定するのか?

· 脱炭素

24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook(ガイドブック)においては、追加性(Additionality)について実務者向けに具体的な説明がなされています。本サイトでは、追加性とは何か、そしてそれをどのように測るのかという観点から、その内容を整理していきます。

■ 追加性とは何か(Why Additionality)

追加性とは、新たなカーボンフリー電源の導入を実際に促進することを意味します。24/7 CFEに参加する主な理由の一つは、単に既存の再エネを調達するのではなく、新規の発電設備の開発を後押しすることにあります。署名主体は、気候変動対策におけるリーダーシップを示すとともに、既存のエネルギーシステムの枠を超えて、新たな電源の創出を支援することを目指しています。このため、追加的なカーボンフリー電源の導入を支えることは、24/7 CFEコンパクトの中核的な目的と位置づけられています。

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■ 実務における追加性の考え方

追加性は単一の定義で固定されるものではなく、実務上は複数の観点から評価されます。例えば、規制や基準によって、調達対象となる電源の稼働年数に制限を設ける「ヴィンテージ制約」という考え方があります。欧州の再生可能水素に関する制度では、36か月以内に稼働した新しい設備からの調達を求めるなど、追加性を担保する仕組みが導入されています。

また、明示的な契約条件によって追加性を確保する方法もあります。企業が開発段階のプロジェクトから電力を調達する契約を締結することで、プロジェクトに対する収益の見通しを与え、資金調達を可能にします。これにより、新規電源の建設が実現し、結果として追加的な発電が生み出されます。

■ 追加性をどのように測るか

追加性の評価は、単なる電力量だけでなく、より広い影響を考慮する必要があります。新規電源の導入は、電力市場への影響に加えて、雇用創出や電力アクセスの改善、地域の環境負荷低減など、社会的・経済的な効果も持ち得ます。このため、こうした複数の指標を踏まえた定性的・定量的な評価フレームワークの構築が求められています。

Climate Groupの技術ガイダンスでは、企業による調達手法を追加性の観点から段階的に評価する枠組みが示されています。これにより、どの調達手法がより高い追加性を持つかを比較可能とする仕組みが提示されています。

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■ 追加性の評価における調達手法の違い

追加性の観点からは、調達手法ごとにその影響度が異なります。例えば、自社保有設備による発電や、発電事業者との直接契約(フィジカルPPAやバーチャルPPA)は、新規投資を直接的に支える可能性が高く、追加性が高いと評価されます。電力小売事業者との契約においても、特定プロジェクトに紐づく供給契約は追加性を持ちやすい一方で、一般的な小売契約は相対的に影響が限定的となります。

一方で、環境証書(EAC)のアンバンドル調達や、受動的な調達(パッシブ調達)は、既存電源からの価値移転にとどまる場合が多く、追加性の観点では相対的に低いと位置づけられます。

■ 今後の位置づけ

このように、追加性は24/7 CFEの中核概念の一つであり、新たな電源投資をどのように誘発するかという観点から整理されています。単なる電力の調達ではなく、電力システム全体にどのような変化をもたらすかを評価するという点で、時間一致や地域一致と並ぶ重要な柱といえます。

今後、Scope2の議論や証書市場の高度化と連動する中で、追加性の評価手法もさらに精緻化していくことが見込まれます。そのため、実務においても、調達手法の選択だけでなく、その背景にある投資効果や社会的影響を含めて評価していく視点が重要になります。