国連主導の24/7 Carbon-Free Energy Compact、アワリーマッチング実務を示すガイドブックVersion2を発行

· 脱炭素

■ 国連が主導してきた24/7 CFEの潮流

24/7 Carbon-Free Energy Compact(24/7 CFE)は、2021年に国連エネルギー(UN-Energy)のハイレベル対話を契機に発足した国際イニシアティブで、国連Sustainable Energy for Allが事務局を担っています。各国政府、企業、電力事業者などが参画し、2026年2月時点で180以上の主体が署名しています。

当社(株式会社電力シェアリング)は、2024年に日本からは3番目の民間企業として加盟を果たしています。2025年9月にニューヨークで開かれた年次総会では、私が電力シェアリングCEOとしてパネル討論に登壇し、活発な議論を行い、アワリーマッチングの社会実装の道筋を確認しました。

Section image

ワークショップの様子:UN24/7 CFEウエブサイトより引用

この時に話題に出たのが、アワリーマッチング実現のためのGC-EAC(タイムスタンプの付された環境属性証書)取引の主流化に必要となる、規制・技術・市場に関わる人材をどのように育成するかという点です。すなわち、理論構築から社会実装に段階が移行するなかで、実務者の能力をどうやって向上させていくかということでした。

そのために必要なのは国際標準化であり、同じく登壇した規格を設計するEnergyTagの米国代表からは取引手法の精緻化を急ぐこと、そして国連24/7 CFE事務局からは、実務者向けのガイドブック(24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook)が示されました。

様々な議論を織り込む形で、2026年3月26日には、その改訂版(Version 2)が示されています(以下のページからダウンロード可能です。あるいはUN24/7CFEで検索下さい)。

Section image

Reports:24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook

This 24/7 CFE Compact Guidebook aims to establish a shared understanding of the 24/7 Carbon-Free Energy Compact principles and introduce key enablers to the movement.

This guidebook builds on extensive research and expertise from among the signatories and is intended to support current and future signatories on their journey towards 24/7 CFE.

The first version of the guidebook was published on March 3, 2025. As of March 26, 2026, Version 2 has been released, reflecting the latest insights and developments from the community.

The guidebook is designed as a living document and will continue to be updated periodically to reflect emerging research, best practices, and evolving trends.

このガイドブックは、アワリーマッチングに関わる報告企業の担当者や、電力(再エネ発電・蓄電・小売・PPA組成等)や環境・炭素会計(環境証書)ビジネスに関わる実務担当者には大変有用だと考えますので、是非ご覧いただければと考えます。

■ ガイドブックの位置づけ

このガイドブックは、24/7 CFEの原則に関する共通理解を形成し、具体的な実装に向けた考え方を提示するものです。署名主体の多様性を前提に、実務上の出発点となる指針を示すことを目的としており、法的拘束力を持つものではなく、最新の知見に応じて更新されるリビングドキュメントとして位置づけられています。

また、その対象は電力を中心としつつもエネルギーシステム全体を視野に入れており、発電、トラッキング、調達といった要素を軸に、24/7 CFEの実現に向けた基本的な構造を整理しています。すなわち、このガイドブックは、アワリーマッチングを社会実装するための「実務的な土台」を提示する文書といえます。

■ 今後の整理

GHGプロトコルのスコープ2ガイダンス改定については、多くの抗議や異論が示されていてまだまだ行く末が見通せないところですが、24/7 CFEやEnergyTagコミュニティの間では、既にその実現を織り込んでいて、社会実装に向けた条件整備を進めているところです。

本記事では全体像の整理にとどめ、ガイドブックの具体的な内容については、別途、各章ごとに詳細に解説していきます。これにより、アワリーマッチングの実装論や証書制度、政策設計への影響について、次回以降より具体的に解説していく予定です。