企業はアワリーマッチングを実現できるか?サステナビリティ担当者に新しい再エネ調達の実務を指南~ UN 24/7 CFEガイドブック
企業はアワリーマッチングを実現できるか?サステナビリティ担当者に新しい再エネ調達の実務を指南~ UN 24/7 CFEガイドブック
24/7 Carbon-Free Energy Compact Guidebook(ガイドブック)においては、アワリーマッチングの導入を検討する大企業のサステナビリティ担当者向けに、実践的な取り組み方と考え方が整理されています。
近年、Googleなどのグローバル企業が時間一致の電力調達を積極的に導入し、企業の気候責任の高度化を進めている中で、日本においても一部の電力会社が関連サービスを開始しています。こうした状況を踏まえ、実務担当者がどのように理解を深め、具体的なアクションを取るべきかを考える上で、本ガイドは有用な指針を提供しています。

■ 知識の習得(Build Knowledge)
まずは、24/7 CFEの基本原則とその実務への適用方法を理解することが出発点とされています。時間一致、地域一致、追加性などの主要な考え方を把握し、それらがどのように実際の電力調達や報告に関係するのかを学ぶ必要があります。また、最新の研究や事例を参照し、コミュニティや専門家から知見を得ることも重要とされています。
■ 実現可能性の評価(Assess Viability)
次に、自社の電力消費パターンを測定し、現状のエネルギー利用の特徴を把握します。その上で、24/7 CFE導入にあたっての障壁や課題を特定します。これには、データの取得可能性、契約条件、コスト、組織体制などが含まれます。現状分析を通じて、導入に向けた現実的な出発点を明確にすることが求められます。
■ ロードマップの策定(Create Roadmap)
その後、段階的な移行を前提としたロードマップを策定します。現在の電力調達から24/7 CFEへの移行に向けて、マイルストーンを設定し、時間一致の達成度を徐々に高めていく戦略を構築します。このプロセスでは、短期・中期・長期の目標を整理し、実行可能な計画として落とし込むことが重要です。
■ ソリューションの実装(Operationalize Solutions)
ロードマップに基づき、具体的なソリューションの導入を進めます。これには、24/7対応のPPAや高度な電力調達手法の活用が含まれます。また、必要なリソースを配分し、社内外の関係者と連携しながら実装を進めることが求められます。
■ モニタリングと評価(Monitor and Evaluate)
導入後は、時間単位でのマッチング結果を検証し、その成果を評価するプロセスが重要となります。グラニュラー証書などを活用し、電力調達の実績を確認するとともに、24/7 CFEへの移行がもたらす影響を定量的に把握します。このプロセスを通じて、継続的な改善と次のステップへの反映が可能となります。
■ 実務への示唆
ガイドブックでは、24/7 CFEの達成は一足飛びに実現するものではなく、今日から着手できる「ジャーニー」として位置づけられています。100%の時間一致は野心的な目標ではあるものの、段階的な取り組みによって達成可能であり、企業のクリーンエネルギー戦略を強化する手段となります。
また、コミュニティやソリューション提供者と連携することで、知見の共有や能力構築が進み、より実効性の高い導入が可能となります。このように、本ガイドは、企業の実務担当者が具体的な行動に移るための実践的な指針として整理されている点に特徴があります。
ガイドブックから離れて、ここで、もう少し解像度を高くして私たち一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の視点からご説明します。
実務としてアワリーマッチングの導入を検討する際には、まず自社の現状の立ち位置を把握することが出発点になります。
マーケットベース手法の観点では、これまで調達してきた再エネの内訳、すなわちPPAがフィジカルなのかバーチャルなのか、あるいはオンサイトの自家消費による環境価値がどの程度あるのか、さらに非化石証書やJクレジットなどを含めたポートフォリオの構成について具体的に確認することが考えられます。
その上で、すでにアワリーマッチングに関連するサービスを提供している事業者の選択肢を整理し、必要に応じて対話を進めながら、自社に適した導入方法を検討していくことが現実的な進め方となります。
もう一つの重要な視点として、ロケーションベース手法との関係があります。現行および今後の制度では、マーケットベースと併せてロケーションベースでの排出量の把握が求められる方向にあります。このため、電力消費の時間帯別データと系統の時間帯別排出係数を組み合わせ、自社が「いつ・どの時間帯に・どの程度の電力を使用しているのか」、そしてその時間帯の排出係数が高いのか低いのかを把握しておくことが有用です。
こうした整理を行うことで、新しい基準が適用された場合に、自社の排出量が増減する可能性についてもあらかじめ理解することができます。アワリーマッチングの導入検討とあわせて、こうした現状把握を進めておくことが、実務上の一つの準備になると考えられます。
■国連 24/7 CFEガイドブックの詳しい解説
(解説者:㈱電力シェアリング&アワリーマッチング推進協議会)
【第1回】アワリーマッチングの定義
【第2回】タイムトラッキングの仕組み
【第3回】ローカルマッチングの定義
【第4回】境界設定の考え方
【第5回】カーボンフリー電源の定義
【第6回】テクノロジー・インクルーシブとは
【第9回】電力システムコストへの影響評価
【第10回】スマートメータの重要性
【第12回】環境証書(GC-EAC)取引の国際標準手法
【第14回】アワリーマッチングを実現するPPAの設計方法
【第15回】世界各国の政策・規制フレームワークの構築状況
【第16回】グリーン水素へのアワリーマッチング適用
【第19回】各国政府政策・規制担当者へのアドバイス
