【深堀り解説】石炭か再エネか?Part2 なぜアワリーマッチングは電力システム全体の最適化ツールなのか

· 電力システム改革,火力発電,容量市場,Scope2,アワリーマッチング

アワリーマッチングは排出量算定手法ではない

アワリーマッチングというと、24/7カーボンフリー電力や時間単位の環境価値証明といった排出量算定の話として理解されることが少なくありません。しかし本質的には、アワリーマッチングは電力システム全体を設計するための市場分析ツールであり、需要と供給の構造を可視化するための仕組みです。

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需要家ごとに異なるWTPを見える化する

例えばAIデータセンターやハイパースケールクラウド事業者、多国籍企業などは、時間単位で一致した高品質な再エネ電力に対して高い価値を認めています。こうした需要家は比較的高い価格を支払う意思(Willingness to Pay:WTP)を持っています。一方で、中小企業や一般家庭はコストを重視する傾向があり、同じ品質の再エネを必要としていない場合もあります。

高品質な再エネ市場を形成する

高品質な再エネとは、単に太陽光発電だけではありません。太陽光、風力、水力、蓄電池、需要側調整などを組み合わせ、時間単位で安定供給できる再エネポートフォリオです。こうした電力はコストが高くなりますが、その価値を評価する需要家が存在します。アワリーマッチングは、どの需要家がどの程度の品質を求め、どの程度の価格を支払う意思があるのかを明らかにします。

電力システムをセグメント化する

従来は電力システム全体で一律にコストを負担する考え方が主流でした。しかしアワリーマッチングを活用すると、高品質な再エネを求める需要家群、コスト重視の需要家群、最低限の電力供給を必要とする需要家群などを市場として切り分けることができます。結果として、データセンターなどの高WTP需要家が先行して高品質な再エネを購入し、その投資が新たな再エネ設備や蓄電池の建設を促進することになります。

マクロの電源構成を決めるためのツール

つまりアワリーマッチングは、個別需要家の排出量を計算するだけの仕組みではありません。どの需要家がどの電源を必要とし、どの程度の価格を負担できるのかを積み上げることで、社会全体として必要な再エネ量、蓄電池量、火力発電量を推計することができます。アワリーマッチングは市場設計ツールであり、同時にマクロの電源構成を設計するための最適化ツールでもあるのです。

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