脱炭素化支援機構(JICN)、レノバ主導の系統用蓄電池事業に支援決定、215MW規模の蓄電池整備を後押し

· 蓄電池事業

株式会社脱炭素化支援機構(JICN)は、2025年3月3日、レノバが開発を進める系統用蓄電池事業への支援決定を発表しました。支援対象は、レノバを代表社員とするアールツー蓄電所合同会社が推進する系統用蓄電池事業で、北海道函館市、北海道白老町、静岡県周智郡森町の3地点に合計215MWの蓄電池設備を整備する計画です。

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脱炭素化支援機構とは何か

JICN(Japan Green Investment Corp. for Carbon Neutrality)は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて設立された官民ファンドです。2022年10月に設立され、資本金は290億円。そのうち国から109.5億円、株式会社産業革新投資機構(JIC)から180.5億円が出資しています。

同機構は、民間金融だけでは十分な資金供給が難しい脱炭素関連事業に対し、出資や融資を通じて事業化を後押しする役割を担っています。再生可能エネルギーや蓄電池、水素、地域脱炭素など幅広い分野を対象とし、資金だけでなく事業ノウハウや人材面での支援も行う仕組みです。

今回の案件では、単なる設備投資案件としてではなく、日本の電力システム全体の脱炭素化と安定供給の両立に資するインフラとして評価されたとみられます。

レノバが進める系統用蓄電池事業

レノバは2000年設立の再生可能エネルギー事業者で、太陽光、陸上風力、洋上風力、バイオマス、地熱などの発電事業を国内外で展開しています。2024年3月期の連結売上高は447億円、総資産は4,653億円に達しています。

今回の事業では、北海道函館市に90MW、北海道白老町に50MW、静岡県周智郡森町に75MWの系統用蓄電池を整備する計画です。蓄電池は送電網へ直接接続される「系統用蓄電池」として運用され、再生可能エネルギーの出力変動吸収や需給調整機能を担います。

事業主体となるアールツー蓄電所合同会社には、レノバのほか、SMFLみらいパートナーズ、株式会社平林商会、株式会社マツイ、JICNが出資参加しています。融資は株式会社三菱UFJ銀行が実施するスキームとなっています。

なぜ官民ファンドが蓄電池に出資するのか

近年、日本では太陽光発電や風力発電の導入拡大に伴い、出力変動への対応が大きな課題となっています。特に北海道や九州などでは再エネ比率の上昇に伴い、出力制御の増加や調整力不足への対応が求められています。

系統用蓄電池は、昼間の余剰電力を充電し、需要が高まる時間帯に放電することで電力需給の平準化を図る設備です。容量市場や需給調整市場、卸電力市場など複数市場を活用した運用が可能である一方、収益構造が新しく、長期的な事業リスクの評価が難しい分野でもあります。

こうした状況から、政府系ファンドが初期段階で資本参加することで民間資金を呼び込みやすくなり、大規模な蓄電池投資を促進する効果が期待されます。今回の案件も、三菱UFJ銀行による融資と複数企業の出資を組み合わせることで、総額の大きいインフラ投資を実現する構造となっています。

また、JICNは本事業について、長期脱炭素電源オークション制度の対象となる新規蓄電池案件であり、20年間にわたり電力供給力を提供する計画であることを示しています。再生可能エネルギーの導入拡大と電力供給の安定化を両立させる基盤整備として、今後の国内蓄電池市場の拡大にも影響を与える可能性がありそうです。

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