東京ガス、レノバ・Equis Developmentグループと系統用蓄電池向けオフテイク契約を締結。北海道と福岡県で計80MW。東京ガスは累計300MWを運用

· 大規模系統用蓄電池事業

東京ガス株式会社は、2025年6月30日、株式会社レノバおよびEquis Developmentグループが開発する2件の系統用蓄電池プロジェクトについて、各事業会社との間で20年間のオフテイク契約を締結したことを発表しました

今回対象となるのは、北海道石狩市で開発が進む「石狩蓄電所」と、福岡県遠賀郡芦屋町で開発が進む「芦屋蓄電所」です。両案件の合計出力は80MWとなり、東京ガスが締結済みの系統用蓄電池向けオフテイク契約は累計110MWに到達しました。東京ガスは系統用蓄電池を自社で保有するだけでなく、外部事業者が開発する蓄電所の運用権を長期的に確保することで、電力市場における調整力事業の拡大を進めています。

石狩蓄電所と芦屋蓄電所の概要

石狩蓄電所は、レノバが出資するアールスリー蓄電所合同会社が開発を進める案件で、北海道石狩市に建設されます。定格出力は30MWで、2027年度の運転開始を予定しています。

一方の芦屋蓄電所は、Equis Developmentグループが設立した芦屋バッテリーパワー合同会社が事業主体となり、福岡県遠賀郡芦屋町で開発を進めています。定格出力は50MW、蓄電容量は201MWhで、こちらも2027年度の商業運転開始を計画しています。

いずれの案件も、開発事業者が設備の所有者として建設・保有・維持管理を担い、東京ガスが契約期間中の運用権を取得する仕組みを採用しています。

オフテイク契約を核とした事業スキーム

今回のスキームにおいて特徴的なのは、開発事業者と運用事業者の役割を明確に分離している点です。

レノバが公表した資料によれば、事業会社は蓄電所の開発、資産保有、運転保守を担当し、東京ガスは20年間にわたり固定対価を支払うことで施設使用権を取得します。そのうえで、東京ガスが蓄電池の充放電計画や市場取引を担う構造です。

系統用蓄電池は、JEPXスポット市場、時間前市場、需給調整市場、容量市場など複数市場から収益を獲得することが可能ですが、市場価格や制度変更の影響を受けやすいという特徴があります。そこで長期契約による収益基盤を設定することで、設備所有者側は将来のキャッシュフロー見通しを確保しやすくなります。

事業主体が設備資産を保有し、エネルギー事業者が運用権を取得するという役割分担は、近年欧米の蓄電池市場でも普及している方式であり、日本でも大型案件を中心に採用事例が増え始めています。

プロジェクトファイナンスを支える収益の予見性

こうした長期契約は、金融機関による資金供給の観点からも重要な意味を持ちます。

近年の系統用蓄電池案件では、事業収益のみを返済原資とするノンリコース型または限定遡及型のプロジェクトファイナンスが増加しています。金融機関は将来キャッシュフローの安定性を重視するため、長期間にわたり契約収入が見込める案件ほど資金調達を行いやすくなります。

実際に東京ガスが2024年にオフテイク契約を締結したEku Energyグループの広原蓄電所(宮崎県宮崎市、30MW・120MWh)では、三菱UFJ銀行がプロジェクトファイナンスを組成しています。設備所有者である日本蓄電株式会社(Eku Energy日本法人)が蓄電所を保有し、東京ガスが20年間の運用権を取得する構造が採用されました。

このように、設備所有者、運用事業者、金融機関がそれぞれ専門機能を分担するストラクチャーは、日本の系統用蓄電池市場において徐々に標準化が進みつつあります。

東京ガスの蓄電池ポートフォリオ拡大

東京ガスによると、今回の契約締結により、自社開発案件とオフテイク契約案件を合わせた系統用蓄電池の運用予定容量は6案件・300MW規模となりました。

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統には調整力や柔軟性の確保が求められています。大型蓄電池は出力変動への対応や需給バランス調整を担う重要な設備として位置付けられており、今後も発電事業者、インフラファンド、金融機関、エネルギー事業者を組み合わせた事業モデルの拡大が見込まれます。

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