東京ガス、蓄電池運用事業を拡大 オフテイク契約と運用受託を使い分け300MW超のポートフォリオ形成へ

· 大規模系統用蓄電池事業

東京ガス株式会社は、2024年以降、系統用蓄電池事業への参入を本格化させています。同社の特徴は、蓄電所を自ら保有するだけではなく、開発事業者が保有する蓄電所の運用権を取得する「オフテイク契約」と、蓄電所の需給運用そのものを受託する「最適運用サービス」の両方を展開している点にあります。 (Tokyo Gas)

現在、東京ガスが関与する代表的な案件として、Eku Energyグループの広原蓄電所、レノバおよびEquis Developmentグループが開発する石狩・芦屋蓄電所、そしてレノバが開発する森町睦実蓄電所・苫小牧蓄電所が挙げられます。いずれも東京ガスが市場運用に関与するものの、契約形態や収益構造は大きく異なります。 (Tokyo Gas)

広原蓄電所はオフテイク契約型の先行事例

東京ガスは2024年4月24日、Eku Energyの日本法人である日本蓄電株式会社が開発する広原蓄電所(宮崎県宮崎市)について、20年間のオフテイク契約を締結したと発表しました。

広原蓄電所は出力30MW、蓄電容量120MWhの系統用蓄電池で、東京ガスは100%の運用権を20年間保有します。一方、日本蓄電が設備の開発、所有および維持管理を担当します。東京ガスは電力市場での充放電運用や市場取引を行い、蓄電池価値の最大化を図る役割を担います。 (Tokyo Gas)

また、本案件では三菱UFJ銀行が国内蓄電所案件として初となるプロジェクトファイナンスを組成しました。広原蓄電合同会社が設備資産を保有し、東京ガスがオフテイク契約を通じて利用・運用を担うストラクチャーが採用されています。 (bk.mufg.jp)

石狩・芦屋では長期運用権を取得

東京ガスは2025年6月30日、レノバおよびEquis Developmentグループが開発する系統用蓄電池について、新たに20年間のオフテイク契約を締結したと発表しました。

対象は北海道石狩市の石狩蓄電所(30MW)と福岡県芦屋町の芦屋蓄電所(50MW・201MWh)で、合計80MWとなります。事業会社が設備を保有し、東京ガスが利用対価を支払って施設使用権を取得することで、長期間にわたり市場運用を実施します。

これにより東京ガスのオフテイク契約案件は累計110MWに到達しました。東京ガスは卸電力市場、需給調整市場、容量市場などを活用し、蓄電池のマルチユース運用を行う方針です。 (Tokyo Gas)

森町睦実・苫小牧は運用受託モデル

一方、レノバが開発する森町睦実蓄電所(75MW)および苫小牧蓄電所(90MW)は、広原や石狩・芦屋とは異なるスキームが採用されています。

東京ガスは2025年3月6日、レノバが開発する合計165MWの蓄電所について、20年超にわたる需給運用業務を受託すると発表しました。この案件では東京ガスは運用権を取得していません。蓄電所の事業主体および運用権はレノバ側にあり、東京ガスはアグリゲーターとして市場価格予測、充放電計画策定、市場取引代行、蓄電池制御などの需給運用サービスを提供します。 (Tokyo Gas)

つまり、広原および石狩・芦屋では東京ガスがオフテイカーとして運用権を取得するのに対し、森町睦実・苫小牧では需給運用受託者として参画している点が大きな違いです。 (Tokyo Gas)

蓄電池市場で存在感を高める東京ガス

これらの案件に共通するのは、東京ガスが蓄電池の市場運用機能を事業化していることです。設備を保有する事業者、資産を管理するSPC、資金を供給する金融機関、そして市場運用を担う東京ガスという役割分担が明確になりつつあります。

再生可能エネルギーの大量導入が進む中、系統用蓄電池の価値は設備性能だけでなく、需給調整市場や卸電力市場を横断して運用するアグリゲーション能力によって大きく左右されます。広原、石狩・芦屋、森町睦実・苫小牧の各案件は、日本の蓄電池市場が設備開発中心から運用価値創出型へ移行しつつあることを示す事例といえそうです。 (Tokyo Gas)

出典:

一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の運営する電力・脱炭素無料ニュースサイト

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