TotalEnergies独北海の洋上風力権益、 高額入札と系統接続遅延で事業性に懸念も

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フランスのエネルギー大手TotalEnergiesは、ドイツ北海における洋上風力開発権益を取得しています。対象となるのはN-9.4およびN-9.1海域で、TotalEnergiesはRWEと共同で約7GW規模の洋上風力開発を進める計画です。

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同社は2023年のドイツ洋上風力入札で、総額約30億ユーロ規模の支払いを伴う超高額落札を実施。BPも別海域で約40億ユーロ規模の応札を行っており、当時は欧州洋上風力市場の拡大期待を象徴する案件とされていました。

しかし、その後の環境変化によって、事業採算性への懸念が急速に高まっています。

系統接続遅延と建設コスト上昇が直撃

TotalEnergiesは公式資料の中で、ドイツ送電事業者による「系統接続スケジュールの長期遅延」に言及しており、現在プロジェクトの戦略レビューを進めていると説明しています。

欧州では近年、インフレや金利上昇、洋上建設コスト高騰によって、風車・海底ケーブル・変電設備価格が急上昇。さらにドイツでは、送電網整備が再エネ導入ペースに追いついておらず、接続遅延が大型案件のリスク要因になっています。

複数メディア報道によれば、BPおよびTotalEnergiesは、一部案件からの撤退や権益見直しを検討しているとも伝えられています。これに対し、ドイツ政府関係者や州エネルギー相が相次いで懸念を表明する事態となっています。

「高額入札モデル」そのものに疑問も

今回問題視されているのは、個別案件だけではありません。ドイツでは近年、洋上風力海域を競争入札で割り当てる際、極めて高額な支払いを伴う制度が導入されていました。

その結果、2023年にはBPやTotalEnergiesが数十億ユーロ規模の応札を行った一方、2025年の一部入札では応募ゼロとなるケースも発生。業界団体BWOは、現在の制度では事業リスクが過大化しているとして、海域返還ルールや制度見直しを求めています。

特に、洋上風力は建設前に巨額投資が必要となる一方、実際の売電開始まで数年以上を要します。そこへ系統接続遅延や電力価格変動が重なることで、従来の事業モデルが成立しにくくなりつつあります。

欧州エネルギー転換の試金石に

ドイツ政府は2030年までに少なくとも30GW、2045年には70GWの洋上風力導入を掲げています。しかし、送電網整備、資金調達、サプライチェーン、入札制度の全てが同時に機能しなければ、目標達成は容易ではありません。

再エネ大量導入時代では、「発電設備を建てればよい」という段階を超え、系統接続や市場制度を含めた統合設計が重要になっています。今回の問題は、欧州エネルギー転換そのものの持続可能性を問う事例として注目されそうです。

出典:TotalEnergies

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