【現地レポート】HM協議会、タイでアワリーマッチングの事業性を調査 オンサイトPPAを中心に

· データセンター再エネ,電力システム改革,アワリーマッチング,新興国,国際

私たちアワリーマッチング推進協議会は、5月29日より6月3日まで、タイを訪問し、同国でのアワリーマッチング事業性調査を独自に実施しています。本日は3日目の5月31日、日曜日です。

Section image

バンコク名物の絡み合った配電線

現地ではオンサイトPPAを手がける事業者と、PPAのアワリーマッチング化の可能性について協議しています。これから何回かにわたり、タイでのアワリーマッチング導入の可能性について現地から報告してまいります(なお、事業者や事業について情報は匿名とさせていただきます)。

タイの電力セクター構造

タイの電力市場は、日本のような全面自由化市場とは異なり、国営電力公社であるEGATを中心とした電力システムが維持されています。

このため、需要家が系統を通じて自由に再エネを調達するオフサイトPPAは限定的であり、これまで太陽光発電の普及は主にオンサイトPPAを中心に進展してきました。

Section image

写真はイメージです。当協議会関連案件とは関係ありません。

需要家敷地内に設置した太陽光発電設備から電力を供給するオンサイトPPAが広く普及し、今後さらに拡大していく可能性が高いことが、複数の事業者のヒアリングで確認されました。

一方で、これまでの自家消費を基本としながら、余剰電力の有効活用を組み合わせる事業モデルへの発展の兆しもあります。

昨今の中東情勢で、タイでは化石燃料不足が危機的な状況にあり、再生可能エネルギーの比較優位性が高まっています

アワリーマッチングの可能性

こうした環境の中で注目されるのが、アワリーマッチングです。

太陽光発電は昼間を中心に発電するため、単に年間発電量だけではなく、いつ発電し、いつ消費されたのかという時間的な一致が重要になります。

タイではEGATが系統運用を一元的に担っており、発電・送配電に関するデータ管理も比較的集中的に行われています

もちろん、自由化していないことはネックですが、一方で、EGATのデータ管理水準は極めて高く、将来的に時間粒度別の電力利用や環境価値の可視化を進めるうえで条件整備は他のASEAN諸国に比較して進んでいることが判明しました。

データセンターがアイスブレーカーに

また、現地で特に強く感じられることは、データセンター需要の拡大が電力市場改革の新たな原動力となっていることです。

近年、クラウドサービスやAI関連需要の拡大を背景に、世界のハイパースケーラー各社が東南アジアへの投資を拡大しています。

こうした企業は再生可能エネルギーの直接調達や24時間365日のカーボンフリーエネルギー利用を重視しており、タイでも従来の電力供給モデルに変化を促す存在として注目されています。現在進められているDirect PPA制度の検討も、こうした需要の高まりと無関係ではありません。

アワリーマッチング推進協議会では、今回のタイ調査を通じて得られた知見をもとに、東南アジア地域における時間一致型再エネ利用の普及可能性について検討を進めています。

来週6月10日からフィリピン・マニラで開催されるアジアクリーンエネルギーフォーラム(ACEF)においても、国際機関や各国関係者との意見交換を行いながら、東南アジアに加え、インド、パキスタン、バングラデシュなどの新興国市場におけるアワリーマッチングの展開可能性について、調査を進める予定です。

再生可能エネルギーの導入拡大が進むアジアでは、発電量そのものだけでなく、「いつ、どこで使われた再エネなのか」を可視化する仕組みへの関心が高まりつつあります。

アワリーマッチング推進協議会は、現地ステークホルダーとの連携を通じて、アジアにおける次世代の再エネ利用モデルの形成に取り組んでいきます

一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の運営する電力・脱炭素無料ニュースサイト

Section image