Google、独自のGC-EACの取引実証をデンマークで実施と発表(2024年)
Google、独自のGC-EACの取引実証をデンマークで実施と発表(2024年)
Googleは時間単位で再エネ価値を証明するT-EAC(Time-based Energy Attribute Certificates)の実装を進めています。2024年には欧州で初めて、証書発行主体によるT-EACの発行および実取引が実現し、再エネ証書市場における大きな転換点となりました。これらの動きは、電力の調達・証明・評価のあり方を根本から変える可能性を示しています。
結論:T-EACはアワリーマッチングの中核インフラ
T-EACは、再生可能エネルギーの「量」ではなく「時間」を軸に価値を捉える仕組みであり、電力消費とカーボンフリー電源を1時間単位で一致させることを可能にします。これにより、24時間365日カーボンフリー電力(24/7 CFE)の実現と、企業の脱炭素主張の信頼性向上に寄与します。
Googleは2021年から米国およびデンマークでT-EACの実証を開始し、自社の電力需要に対して時間単位で証書を償却する運用を進めてきました。2024年には、欧州の発行主体からバンドル型T-EACを受領するとともに、アンバンドル型T-EACの購入実証も実施し、市場形成に向けた重要なステップを達成しています。
T-EACとは何か:従来の証書との構造的違い
従来のEAC(Energy Attribute Certificates)は、米国のRECや欧州のGOのように、再エネ由来であることを1MWh単位で証明する仕組みです。しかし、これらは発電された「時間」を示さないため、需給の時間的ミスマッチを考慮できないという課題がありました。
T-EACはこの点を拡張し、発電された時間情報(通常は1時間単位)を証書に組み込むことで、消費電力と同じ時間帯に発電された再エネであることを証明できます。これにより、従来の月次・年次ベースの集計では把握できなかった炭素削減効果を精緻に評価できるようになります。
GC-EACとの違いと市場実装
GC-EAC(Granular Certificate)は高粒度証書の総称ですが、T-EACはその中でも契約・取引・運用まで含めた実装モデルとして位置付けられます。
T-EACは、電力と証書を一体で扱うバンドル型PPAに加え、証書単体でのアンバンドル取引も可能であり、市場の流動性を高める設計となっています。Flexidaoなどの認証機関や、LevelTen Energyなどの取引プラットフォームの関与により、エコシステムの整備が進んでいます。
欧州におけるブレークスルー:初の発行と実取引
2024年12月には、Google、Better Energy、送電事業者Energinet、Flexidaoによる共同プロジェクトがデンマークで実施され、Energy Track & Traceプラットフォーム上でT-EACの発行と実取引が行われました。
この実証では、スマートメーターから取得した需要データと再エネ発電データを1時間単位で紐付け、実需給に基づく証書発行を実現しています。デンマークの高度なデータ基盤と中央集約型システムを活用することで、スケーラブルな運用モデルが示されました。
さらに、EUの再エネ指令(RED III)によりグラニュラー証書の法的枠組みが整備され、今後各国での制度導入が進む見通しです。

市場設計の要諦と日本市場への適用
T-EACの登場は、発電・消費・証書・契約・報告をすべて時間単位で統合する、新たな電力市場設計を示しています。これにより、カーボン価値は単なる総量ではなく、系統状況に応じた時間価値として評価されるようになります。
日本においてもScope2改定やアワリーマッチングの議論が進む中、T-EACに類似した仕組みの導入は、コーポレートPPAや非化石証書市場の構造を大きく変える可能性があります。海外の先行事例を踏まえた制度設計が今後の鍵となります。
