非化石証書と連携するGC-EACの二階建てモデル、アワリーマッチング推進協議会が描く再エネ普及の未来像

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第三者機関が管理するGC-EAC発行と非化石証書との二階建てモデル

前回は、非化石証書自体をGC-EAC化することでアワリーマッチングを可能にする手法を解説しました。これをプランAとします。

次に、いわばその代替策、プランBとして第三者が新たにタイムスタンプ付き環境証書(GC-EAC)を発行して、これを非化石証書と連携させる手法を考えてみます。

実は、前の記事でご紹介した、EnergyTagが策定したGC-EAC取引の基準の中では、その選択肢も示されています。

つまり、非化石証書という公的な環境証書システムそのものを改修するアプローチだけでなく、既存の証書と並行して第三者が独自のGC-EACを発行し、その取引から無効化までのライフサイクル全体を管理するという別類型です。

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私たち一般社団法人アワリーマッチング推進協議会では、仮に非化石証書のタイムスタンプ刻印が難しい場合として、この基準を適用した手法の可能性を検討しています。

それは、現行のトラッキング付非化石証書を一階の基盤とし、その上に新たなGC-EACを二階として乗せ、これらが相互に緊密に連携する二階建ての市場モデルです。

このモデルにおいて、一階の非化石証書はこれまで通り年間の総量として環境価値を担保する役割を果たしますが、二階のGC-EACは、再生可能エネルギーが実際に発電された1時間以下の細かな時間単位の価値を切り出し、需要家の細かなニーズに応じた柔軟な取引を可能にします。

年間の発行量と保有量の厳密な残高管理によるダブルカウント防止

この一階と二階が連動するハイブリッドなモデルを成立させる上で最大の課題となるのが、同一の環境価値が複数の主体によって重複して主張されるダブルカウントを確実に防止することです。

この課題を解決するため、特定の再生可能エネルギー発電所において一年間に生み出された非化石証書の発行総量と、同期間にその発電所のデータに基づいて第三者が発行したGC-EACの発行総量が厳密に一致するよう、定期的に照合し平仄を合わせていく仕組みを構築します。さらに市場で取引が行われた場合にも、GC-EACを取得した需要家が年間を通じて保有するGC-EACの総量と、その裏付けとして並行して入手または無効化されたトラッキング付非化石証書の保有量の平仄を合わせる残高管理が求められます。

この徹底した照合プロセスにより、公的制度の信頼性を保ちながら民間主導の革新的な取引を安全に拡大させることができます。

スマートメーターデータを活用したアワリーマッチング率の算定と照合

需要家が自らの環境目標達成を外部に示すための無効化プロセスでは、発電と消費のタイミングが一致していることを示す需要側アワリーマッチング率が精緻に算定されます。

この算定ロジックにおいては、特定の時間帯に需要家のために無効化されたGC-EACの量が分子となり、同じ時間帯にその需要家が実際に消費した電力量が分母として計算されます。

ここで重要となるのが分母となる消費データの正確性ですが**、本モデルでは電力広域的運営推進機関が全国の中立的な立場で管理している需要家の30分ごとのスマートメーターデータを活用**します。

この改ざんが不可能な公的な消費データと、第三者のプラットフォームがオフセットとして認定したGC-EACの無効化量を直接突き合わせて照合することで、グリーンウォッシュの疑念を完全に払拭する透明性の高い環境価値の利用証明が完成します。

中立な公証人機能の設置による独占排除と競争的な市場環境の構築

これらの一連のプロセスにおいて、一階と二階の帳簿のすり合わせやスマートメーターデータを用いた複雑な照合を公平かつ正確に遂行するためには、市場全体を俯瞰し中立な公証人の機能を果たす組織の存在が絶対に欠かせません。

アワリーマッチング推進協議会としては、この極めて公共性の高い公証人の役割は、一民間企業の営利事業として行われるべきではなく、経済産業省や金融庁といった国の管轄下に置かれた公益法人などが担うことが最も望ましいと考えています。

このような公的な性格を持つ組織が監査やデータの照合を担うことで、GC-EACの発行事業者やマーケットプレイスの運営事業者、あるいは取引の仲介事業者が特定のプラットフォーマーに独占される事態を未然に防ぐことができます

共通基準の下での自由な競争がもたらす再生可能エネルギーの普及

誰もが共通の厳格なルールの下でダブルカウントを防止しながら自由に競争できるオープンな市場環境が整備されれば、市場は健全に成長していきます。中立的な公証人機能によってデータの透明性が担保されることで、多様な事業者が安心して市場に参入できるようになります。

その結果として、時間価値や場所価値を適切に反映した適正な価格での売買が自然と促進され、発電事業者にとっても新たな収益機会の創出に繋がります。

一義的には、非化石証書自体のGC-EAC化が望ましいのはいうまでもありませんが、それが難しい場合は二階建てモデルの導入を検討すべきです。

こうした官民連携によるハイブリッドな二階建てモデルの構築こそが、結果として日本全体における再生可能エネルギーへの投資と普及の加速に力強く貢献していくものと私たちは考えています。

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