CHC Japan、みずほ証券、オリックス銀行、系統用蓄電所を対象とした100億円のプロジェクトボンド組成。東京ガスがオフテイカー
CHC Japan、みずほ証券、オリックス銀行、系統用蓄電所を対象とした100億円のプロジェクトボンド組成。東京ガスがオフテイカー
CHC Japan株式会社、みずほ証券株式会社、オリックス銀行株式会社は、2026年4月17日、系統用蓄電所を対象とした100億円のプロジェクトボンドを組成したと発表しました。系統用蓄電所の開発資金を使途とするプロジェクトボンドとしては国内初の事例となります。

本件は、新潟県小千谷市で開発が進む出力49MWの系統用蓄電所を対象に、総額100億円のプロジェクトボンドを発行するもので、再生可能エネルギー関連インフラの資金調達手法として注目を集めています。商業運転開始は2029年を予定しており、運転開始後は東京ガス株式会社が20年間にわたりオフテイク契約に基づき運営権を取得する計画です。
系統用蓄電所を支える新たな資金調達モデル
今回のスキームは、従来の銀行融資中心のプロジェクトファイナンスとは異なり、機関投資家から直接資金を集めるプロジェクトボンドを活用している点が特徴です。
プロジェクトボンドとは、将来の事業収益を返済原資とする債券です。発電所や空港、道路など海外のインフラ事業では一般的な手法ですが、日本の系統用蓄電所向け案件としては初の事例となります。
本案件では、投資家が100億円規模の債券を購入し、その資金が蓄電所建設費として活用されます。債券保有者は事業から生じるキャッシュフローを原資として元利金を受け取る構造です。
格付投資情報センター(R&I)から「A-」格付を取得していることも特徴であり、蓄電池事業としては高い信用力を確保した案件と位置付けられます。
東京ガスが20年間のオフテイカーとして収益基盤を支援
蓄電所の運用を担うのが東京ガスです。
一般的な系統用蓄電所は、需給調整市場、容量市場、卸電力市場などから収益を獲得するフルマーチャント型が主流です。一方で市場価格変動リスクが大きく、長期資金を呼び込みにくい課題がありました。
本案件では、東京ガスが20年間にわたり利用対価を支払うオフテイク契約を締結しています。東京ガスは蓄電池の運用権を取得し、自ら市場取引や需給運用を行うことで収益を獲得します。
蓄電所事業会社にとっては、長期にわたる安定収入が見込めるため、投資家や格付機関から見た事業リスクを大幅に低減できる構造となっています。
いわば「発電所の売電契約(PPA)」を蓄電池向けに応用したような仕組みであり、将来収益の予見性向上がプロジェクトボンド発行を可能にした重要な要素といえます。
CHC Japan、みずほ証券、オリックス銀行の役割分担
事業主体であるCHC Japanは、蓄電所の開発、許認可取得、EPC調達、アセットマネジメントを担当します。プロジェクト全体のスポンサーとして事業を推進する立場です。
みずほ証券はプロジェクトボンドのストラクチャリングおよび投資家募集を担当しました。機関投資家向けの債券設計や販売を担い、資本市場からの資金調達を実現しています。
オリックス銀行は信託受託者および信託貸付人として参画しています。投資家資金を信託スキームを通じて管理し、事業会社への資金供給を行う役割を担います。
CHC Japanが事業開発、東京ガスが長期収益基盤の提供、みずほ証券が資本市場との接続、オリックス銀行が信託・資金管理機能を担うことで、各プレーヤーが専門性を分担する高度な金融スキームが構築された格好です。
蓄電池市場の成熟を示す象徴的案件
近年、日本では系統用蓄電所の開発案件が急増しているものの、多くはスポンサー出資や銀行融資に依存しています。
本案件は、長期オフテイク契約による安定収益と資本市場からの直接調達を組み合わせた点に特徴があります。再エネ発電所で一般化しているプロジェクトファイナンス手法が、蓄電池分野にも本格的に適用され始めた事例です。
AIデータセンターの増加や再エネ導入拡大によって調整力需要が高まる中、今後は同様の長期契約型蓄電池案件が増加し、インフラ投資マネーの流入拡大につながることが期待されます。
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