ふるさと熱電、熊本県小国町で「わいた第2地熱発電所」が運転開始 地域還元型モデルによる4.9MW地熱発電事業を本格稼働
ふるさと熱電、熊本県小国町で「わいた第2地熱発電所」が運転開始 地域還元型モデルによる4.9MW地熱発電事業を本格稼働
ふるさと熱電株式会社は、2026年4月16日、熊本県阿蘇郡小国町で開発を進めていた「わいた第2地熱発電所」が2026年3月14日に商業運転を開始し、4月15日に竣工式を実施したことを発表しました。
同発電所は出力4,995kW(約5MW)の地熱発電所で、年間発電量は約3,500万kWhを見込んでいます。これは一般家庭約1万世帯分の年間使用電力量に相当する規模であり、九州における地域主導型地熱発電事業として注目されています。
わいた地域で進む第二の地熱発電プロジェクト
わいた第2地熱発電所は、熊本県北東部に位置する小国町わいた地区で開発された地熱発電プロジェクトです。事業主体は、ふるさと熱電が2022年8月に設立した特別目的会社(SPC)である「わいた第2地熱発電株式会社」が担います。
発電方式にはシングルフラッシュ方式を採用しています。地下から取り出した高温の熱水を減圧して蒸気を発生させ、その蒸気でタービン発電機を回転させる方式であり、国内の地熱発電所で広く採用されている技術です。
本事業は、2015年に運転開始した「わいた地熱発電所」に続く第二弾プロジェクトとして位置付けられており、地域資源である地熱エネルギーの活用をさらに拡大するものとなります。
SPC・プロジェクトファイナンスを活用した事業スキーム
本案件では、再生可能エネルギー事業で一般的なプロジェクトファイナンス手法が採用されています。
2024年6月には、あおぞら銀行をアレンジャーとするプロジェクトファイナンスの組成が完了しました。出資には株式会社脱炭素化支援機構(JICN)、リコーリース株式会社、西部ガス株式会社、福岡地所株式会社、肥銀キャピタル株式会社などが参画しています。
総事業費は約80億円に達し、発電事業から得られる将来キャッシュフローを返済原資とするノンリコース型の資金調達スキームが構築されました。
近年は系統用蓄電池や太陽光発電でプロジェクトファイナンスの活用が拡大していますが、地域主導型の中規模地熱発電案件で大規模なファイナンスが組成された事例としても注目されています。なお、本案件はFIT適用となり、買取価格は40円/kWh(15年間)です。
EPCは東京ガスエンジニアリングソリューションズが担当
設備建設は東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)が担当しました。
TGESは発電設備に加え、蒸気・熱水を発電所へ輸送する熱輸送設備も含めてEPC(設計・調達・建設)を一括受注しています。TGESによると、本案件は同社にとって初となる地熱発電所EPCプロジェクトとなりました。
一方、運転開始後のアセットマネジメントおよびO&M(運転・保守)はふるさと熱電が担います。設備建設と発電所運営を分離することで、長期的な安定運営を目指す体制が構築されています。
東京ガスエンジニアリングソリューションズは2026年4月16日、発電設備および熱輸送設備の建設工事完了を発表しており、地熱分野への本格参入事例として位置付けています。
地域住民が参画する利益還元モデル
本プロジェクトの最大の特徴は、地域との利益共有スキームにあります。
わいた地区では地域住民が参加する「合同会社わいた会」が組成されており、発電事業から得られる収益の一部が地域へ還元される仕組みが導入されています。
一般的な再生可能エネルギー事業では、発電事業者と地域住民の関係が土地利用や景観などを巡って課題となるケースもあります。一方、本案件では地域側が事業に直接関与し、発電所の収益が地域経済へ循環する構造を構築しています。
地熱資源という地域固有の自然資本を活用しながら、発電事業者、金融機関、設備事業者、地域住民が役割を分担するモデルは、今後の地域共生型再エネ事業の先行事例として評価されそうです。地熱発電の導入拡大だけでなく、地方創生や地域経済循環の観点からも注目を集めるプロジェクトとなっています。
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