国交省、港湾における水素・アンモニア受入環境整備ガイドラインを公表

· 水素アンモニア

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた水素社会推進法の成立を受け、国土交通省は港湾における水素やアンモニアの受入環境整備に係るガイドラインを策定しました。

今後、海外からの水素等の輸入が本格化し、港湾における受入拠点の整備が急速に進むことが見込まれます。

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限られた港湾空間において、将来の物流機能と調和させながら、安全かつ効率的な施設配置を検討するための留意点が本ガイドラインには詳細に整理されています。特に既存ストックの有効活用への配慮が求められており、水素事業関係者にとって必携の資料となっています。

港湾における水素等の受入拠点で適用される多岐にわたる法令

水素等の海上輸送や荷役、貯蔵に際しては、非常に多岐にわたる法令を遵守する必要があります。

ガイドラインでは、港則法や港湾法、高圧ガス保安法、電気事業法、ガス事業法、さらには消防法など、各法令の適用範囲と規制の概要が整理されています。

例えば、引火性危険物である水素の荷役を行う岸壁では、他の停泊船舶から30メートル以上の距離を確保することなどが港則法に基づく基準として定められています。

また、アンモニアについては毒性ガスとしての扱いとなり、悪臭防止法や水質汚濁防止法に基づく規制への対応も必要となることが明記されています。

既存の港湾施設を有効活用するための配置計画と留意点

同一岸壁での他貨物との共用に関する検討事項

既存の化石燃料から水素等へ移行する過程において、現在の揚炭用岸壁などを水素等運搬船の係留や荷役に共用するケースが想定されます。

ガイドラインでは、同一岸壁を他貨物の船舶と共用する場合の施設配置の留意点が示されています。具体的には、水素等の荷役用ローディングアームが他船舶の荷役の支障にならないかを確認することや、他船舶が係留する際の係留索が荷役機械と干渉しないような係船柱の配置を検討することが求められています。

人員と車両の安全な輸送動線の確保

隣接する岸壁を他船舶と利用する場合、水素等の荷役中には関係者以外の立ち入りが厳しく制限されます。そのため、他船舶の係留や荷役作業に従事する人員や車両の通行を妨げないよう、パイプラインの平面配置に注意を払う必要があります。

もし立ち入り禁止エリアを避けた通路の確保が困難な場合は、迂回路を設けるか、あるいは着岸場所そのものの再配置を検討することが重要であると指摘されています。

水素とアンモニアの物性の違いを踏まえた安全対策の重要性

事故シナリオに基づく消火および除害設備の配備

水素は非常に燃焼範囲が広く、わずかな静電気でも引火しやすい特性を持っています。万が一液化水素が漏洩した場合は、水霧によって水素ガスを封じ込め、燃やし尽くすという対策が基本となります。そのため、広範囲に水霧を放水できる装置や消防船の配備が必要です。

一方、液化アンモニアが漏洩した場合は、気化速度が遅くプール状に溜まる特性があるため、直接放水すると蒸発を急激に促進して危険な状態を招く恐れがあります。そのため、防水シートで覆うなどの拡散防止措置と、周辺へのアンモニアガス拡散を防ぐための水幕を形成する放水装置の設置が求められます。

導管の敷設と将来の需要増大を見据えた計画的な港湾整備

受入拠点と背後の需要家を結ぶパイプラインの設置においては、高圧ガス保安法等の適用を受けます。特に事業所外の道路に導管を敷設する場合は、埋設深度や保安物件との離隔距離の確保が厳格に規定されています。

また、将来的な水素需要の増大に伴う運搬船の大型化や寄港頻度の増加を見据え、係留施設の延伸や背後用地の拡張余地をあらかじめ検討しておくことが推奨されています。さらに、気候変動に伴う潮位上昇や大規模災害に対する現場の初動対応体制の確立も不可欠です。

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