関西電力、2026年度までの中期経営計画を策定 脱炭素と送配電に1.9兆円規模を投資

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関西電力は、2026年4月30日、2024年度から2026年度までの3年間を対象とした「中期経営計画」を発表しました。同社は、経営の最優先課題として「脱炭素」と「エネルギーの安定供給」の両立を掲げ、期間中の総投資額として2兆7,000億円を計上しています。

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ゼロカーボン電源への重点投資と構成

今回の計画において、最も大きな比重を占めるのがエネルギー分野への投資です。同社は「ゼロカーボン電源」の拡充に向け、原子力、再生可能エネルギー、水素・アンモニア発電、およびCCS(二酸化炭素回収・貯留)付火力発電に対して集中的にリソースを投入します。

具体的には、原子力の安全対策工事や定検期間の短縮による設備利用率の向上を図るほか、再生可能エネルギーでは2030年代に国内外で累計900万kW以上の新規開発を目指すロードマップを継続しています。また、将来的な火力発電の脱炭素化を見据え、水素・アンモニアの混焼実証や、排出されるCO2を地中に封じ込めるCCS技術の社会実装に向けた検討を加速させる方針です。

送配電ネットワークの強化と投資規模

送配電分野についても、安定供給の維持と再エネ導入拡大を支えるため、強靭なネットワーク構築に向けた投資を強化しています。この分野を含むインフラ基盤の維持・更新には、3年間で約9,000億円規模の予算を割り当てました。

投資の中身としては、経年劣化した設備の更新だけでなく、分散型電源の普及に対応するための「次世代グリッド」への転換が盛り込まれています。デジタル技術を活用した高度な需給調整能力の確保や、災害時の復旧能力を高めるためのレジリエンス強化に注力しています。これら電源開発とインフラ整備を合わせたエネルギー関連の総投資額は、全体の約7割に相当する約1兆9,000億円に達します。

地政学リスクを克服する日本流の技術革新

現在、中東情勢の緊迫化に伴いナフサやLNG(液化天然ガス)のサプライチェーン制約が懸念されており、エネルギー価格の高騰が国内経済に影を落としています。こうした危機的な状況に対し、関西電力は海外依存度の低いゼロカーボン電源の比率を高めることで、資源エネルギーの逼迫リスクを成長の機会に変えようとしています。

かつての第一次石油危機において、日本が徹底した省エネ技術で世界的な競争力を確保したように、今回掲げられた大規模投資も、きめ細かなエネルギー管理と高度な技術革新を融合させた「日本流」の危機克服策としての側面を持ちます。燃料の制約というピンチを、脱炭素社会への移行を加速させるバネとし、持続可能なエネルギー需給構造の実現を急ぐ姿勢が鮮明になっています。