欧州全域の系統接続可能容量マップを公開 再エネ・蓄電池・データセンター立地を可視化
欧州全域の系統接続可能容量マップを公開 再エネ・蓄電池・データセンター立地を可視化
欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)と欧州配電事業者団体EU DSO Entityは、欧州全域の系統接続可能容量を可視化するデジタルプラットフォーム「European Grid Capacity Maps」を公開しています。

この取り組みは、欧州委員会が進める「European Grid Action Plan」の一環で、再生可能エネルギー、蓄電池、EV充電器、ヒートポンプ、データセンターなどの新規接続需要に対し、どの地域に接続余力があるかを地図上で可視化するものです。
欧州では近年、風力・太陽光の急拡大に加え、AIデータセンターや電化需要増加によって系統接続待ちが深刻化していました。特にスペイン、ドイツ、イタリア、英国などでは、接続申請が系統計画を大きく上回り、「connection queue(接続待ち行列)」が巨大化する問題が発生しています。
系統空容量を地図上で可視化
新プラットフォームでは、TSO(送電事業者)とDSO(配電事業者)が保有する系統データをもとに、変電所単位や地域単位で接続可能容量を公開しています。
従来、多くの開発事業者は、どこに接続余力があるか分からないまま接続申請を行っていました。その結果、実現性の低い「ゾンビ申請」が大量発生し、本当に建設可能な案件まで長期待機となるケースが増加していました。
欧州委員会はこれを受け、電力市場改革の中で、TSO・DSOに対し接続可能容量情報の定期公開を義務化。月次または四半期単位での更新が進められています。
さらに、単純な空容量だけでなく、将来の系統増強計画、混雑エリア、柔軟接続(flexible connection)、出力制御条件なども段階的に公開対象へ含める方向です。
蓄電池・データセンター立地戦略にも影響
欧州では、BESS(Battery Energy Storage System)の立地選定でも、系統混雑と価格差の分析が重要になっています。
例えば、再エネ過剰地域では昼間のネガティブプライスが発生しやすく、蓄電池による充放電収益が期待できる一方、系統制約が強すぎると充電側接続自体が困難になるケースもあります。
また、データセンターについても、「ワット・ビット連携」の考え方が広がりつつあり、再エネ電源や蓄電池と近接した立地戦略が進み始めています。接続容量マップは、こうした立地判断を初期段階で効率化する役割を担っています。
ENTSO-Eは、接続可能容量の透明化によって、投資判断の迅速化、接続待ち削減、系統投資最適化が期待できると整理しています。
日本でも接続待ち・蓄電池立地が論点に
日本でも近年、北海道や九州を中心に系統接続申請が急増し、特に蓄電池案件の立地適正性が大きな論点になっています。
北海道では、逆潮流側には空容量がある一方、順潮流側、つまり蓄電池充電側の系統制約が問題化しつつあります。また、接続可能性の不透明さから、事業性検討が難しいとの声も増えています。
現在、日本でもノンファーム接続や混雑管理高度化が進められていますが、欧州のように「どこに、どれだけ接続余力があるか」を広域的かつ視覚的に公開する仕組みは限定的です。
再エネ、蓄電池、データセンター、EV需要が同時拡大する中で、接続可能容量の透明化は、単なる情報公開を超えた産業政策インフラになりつつあります。欧州の先進事例は、日本の系統運用や蓄電池立地政策を考える上でも参考になりそうです。
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