EU、中国製インバーター・PCSへの公的資金制限強化 再エネ設備を「重要インフラ」と位置付け
EU、中国製インバーター・PCSへの公的資金制限強化 再エネ設備を「重要インフラ」と位置付け
欧州委員会は、2026年4月30日、エネルギーインフラ分野における供給網リスク管理に関する勧告文書「Recommendation on supplier risk management」を公表したと発表しました。

今回の勧告では、再生可能エネルギー設備や蓄電池システムに用いられるインバーターやPCS(Power Conversion System)について、サイバーセキュリティや重要インフラ保護の観点から、供給者リスクを厳格に管理する必要性が示されました。特に「高リスク供給者(high-risk suppliers)」への依存低減を進める方向性が明確化されています。 (Energy)
欧州委員会は、欧州投資銀行(EIB)などEU系資金が入る案件に対し、高リスク国由来のインバーターやPCSを用いるプロジェクトへの資金提供を制限する方針を進めている。対象には太陽光発電、風力発電、系統用蓄電池(BESS)などが含まれると報じられています。 (Energy Storage)
電力制御機器を「サイバーリスク」として管理
インバーターやPCSは、太陽光・風力・蓄電池を電力系統へ接続する際の中核装置であり、周波数制御や出力制御、遠隔監視などを担っています。
欧州委員会は5月4日の公式記者会見でも、中国製インバーターなどについて「重要インフラに対する最も差し迫った脅威の一つ」と説明。遠隔操作や運転停止、運用データへの不正アクセスによって、大規模停電リスクにつながる可能性に言及しました。 (Audiovisual Service)
背景には、近年欧米で進むエネルギーインフラのデジタル化があります。再エネ設備や蓄電池はクラウド接続や遠隔制御を前提とした運用が一般化しており、通信機能を通じたサイバー攻撃リスクが安全保障問題として扱われ始めています。
ロイターは2025年、中国製インバーター内部から未公表の通信機器が確認されたと報道しており、欧米当局による警戒感が高まっていました。 (Reuters)
再エネ政策から経済安全保障政策へ
今回の動きは、単なる再エネ設備調達ルール見直しに留まらず、EUがエネルギー・通信・デジタル分野を横断して進める経済安全保障政策の一環とみられています。
欧州委員会は2026年、Cybersecurity Act改正やICT Supply Chain Security Toolboxも進めており、重要インフラにおける「高リスク供給者」の排除を強化する方向です。対象分野には電力、通信、クラウド、データセンターなども含まれる。 (European Commission)
中国政府はこれに対し「差別的措置」として反発しているものの、EU側ではエネルギー供給網を「戦略インフラ」と位置付ける流れが急速に強まっているようです。今後、インバーターや蓄電池PCSにおいても、価格競争だけでなくサイバーセキュリティ認証や供給国リスクが重視される市場環境へ移行していく可能性があります。
一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の運営する電力・脱炭素無料ニュースサイト

