CCS事業法全面施行へ向けたガイドライン案を議論。第4回CCS事業制度検討WGで

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第4回 CCS事業制度検討ワーキンググループ・海底下CCS制度専門委員会 合同会合が、2026年5月21日に開催されました。

日本国内で2030年代初頭からのCCS事業開始を目指して事業環境の整備が進められる中、本会合では2024年に成立し2026年5月22日に全面施行を迎える二酸化炭素の貯留事業に関する法律に基づき、事業者が適切に貯留事業を実施するためのガイドラインに盛り込むべき具体的な論点が議論されました。

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CCS事業法に基づく貯留事業の許可基準と安定貯蔵の要件

国際規格を踏まえた地質評価とリスクマネジメントの徹底

貯留事業を実施するためには経済産業大臣の許可を得る必要があります。許可基準の中心となるのが、申請された貯留区域における二酸化炭素の安定的な貯蔵の確保です。

ガイドライン案では、国際規格であるISO27914を参考に段階的な評価を求めています。はじめにサイトスクリーニングと実現可能性調査により、活断層がないことなど地質環境の安定性を確認します。

続いてサイト特性評価として、貯留容量や圧入性、封じ込め能力、坑井の健全性を評価します。

さらにモデリングとシミュレーションを用いて、取得したデータに基づき長期的な安定性を証明します。これらを踏まえたリスクマネジメントとして、安定貯蔵に支障を及ぼすリスクシナリオの発生確率や結果の重大度を分析し、適切に管理することが求められます。

事業概要の公告と地域住民への適切な情報開示

漏出時影響評価の公開と事業実施中の継続的な情報提供

経済産業大臣は貯留事業の許可にあたり、事業の概要を公告して公衆の縦覧に供します。

この公告事項には、二酸化炭素の安定貯蔵が見込まれることを公に示すため、サイト特性評価やシミュレーション結果を踏まえたリスクマネジメントの概要を含めることが提案されています。

さらに、自然環境や住民の生活環境への潜在的な影響を明らかにする観点から、二酸化炭素が漏出する事態を仮定した環境影響評価の概要も含められます。また、事業者が許可を申請する際には、地域住民等の関係者に対して事前に適切な説明を行うとともに、事業実施中においてもモニタリングの状況など情報提供に係る取り組み予定を記載することが求められます。

貯留事業実施計画とモニタリングの具体的な運用ルール

事業段階と状況区分に応じた監視体制と計画の合理化

許可を受けた事業者は具体的な貯留事業実施計画を作成し、主務大臣の認可を受けます。この計画には安定貯蔵を確保するための方法として、地質評価に関する事項と操業計画に関する事項を記載します

監視体制については、二酸化炭素の成分や圧力、坑井健全性、地層の振動、海洋環境などを対象とし、圧入前、圧入中、圧入停止後という事業段階に応じた計画を定めます。

さらに通常時、懸念時、異常時という状況区分に応じた移行基準を設定し、状況変化に迅速に対応します。

事業の進展に伴いデータの蓄積が進み不確実性が低減した場合には、モニタリングの項目や方法、頻度を減少させる合理化が認められます。各区分の結果は、通常時は遅滞なく、懸念時は直ちに、異常時は定期的に主務大臣へ報告する義務が課されます。

漏えい防止のための応急措置と環境影響への事前評価

安全側に立った漏出仮説シナリオの設定と対応策

万が一の事態に備え、貯留区域からの二酸化炭素の漏えいが発生または発生するおそれがある場合に備えた応急の措置に関する計画を定めます。

具体的には、既存の断層や坑井からの漏えいといったリスクシナリオを明らかにした上で、異常時の基準を超過した場合には、圧入の一時停止や地層水の除去による圧力緩和、坑井の改修など、影響を除去または緩和するための応急措置を講じます。

また、貯留事業の実施に先立ち、より安全側に立って二酸化炭素が地中から海洋や大気中へ漏出に至る仮説シナリオを設定し、影響評価を行うことが求められます。この評価では漏出の位置や範囲、量を予測し、環境への影響項目の変化を事前に詳細に評価します。

次回会合に向けた今後のスケジュール

今秋をめどとしたガイドライン詳細の確定

今回の合同会合で議論された許可に関する事項、貯留事業実施計画の認可に関する事項、モニタリングに関する事項、および漏えい防止措置と二酸化炭素漏出時影響評価に関する事項は、事業者が安全性を担保しながら実務を進める上での根幹となるルールです。

委員会ではこれらの論点に関する方向性が確認され、事業者や関係機関からの意見を踏まえた制度設計の進捗が共有されました。今年秋をめどに開催する次回会合でガイドラインの詳細を固めることとなりました。

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