電力・ガス事業基盤構築小委員会、夏季の予備率3%確保で節電要請は見送る方針

· 電力

2026年5月20日、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会において第6回次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会が開催され、2026年度夏季の電力需給対策に関する詳細な議論が行われました。

電力広域的運営推進機関が5月14日に取りまとめた電力需給検証報告書をもとに、今夏の詳細な需給見通しと、万が一の事態に備えた具体的な対応策が示されました。

2026年度夏季の電力需給見通しと新たな評価手法

月の前半後半への細分化による精緻な予備率算定と燃料確保

今回の需給検証では、需要予測の精度をより向上させるため、評価対象となる月を前半と後半に細分化して算出する新たな手法が採用されました。

特に需要の変動が大きい9月については、前半と後半で分けて評価が行われています。

この検証によれば、2026年度夏季は10年に一度の厳しい暑さを想定した猛暑需要が発生した場合であっても、全てのエリアにおいて安定供給に最低限必要とされる予備率3パーセントを確保できる見通しであることが報告されました。

Section image

東京エリアにおいては事前に行われた追加の供給力公募によって97.6万キロワットが新たに確保されており、これが需給改善に寄与しています。

また、高需要期である7月に向けての燃料余力や大手電力会社の液化天然ガス在庫についても、昨年と同水準となる平年並みの量が確保されていることが確認され、一定の供給力が担保されていることが示されました。

Section image

夏季における事前の節電要請の見送りと今後の対応

トラブルや猛暑に備えた機動的な対策の準備と情報発信

全エリアで予備率3パーセントを確保できる見通しが立ったことや、需要家への負担を考慮し、2026年度夏季においては特定の数値目標を伴うもの、あるいは目標を持たないものも含めて、事前の節電要請は実施しない方針となりました

しかしながら、一部のエリアでは予備率が3パーセント台にとどまるなど余裕のない状況が続いており、気象庁の予報でも今夏は全国的に気温が高くなることが見込まれています。

そのため、国や関係機関は日々の電力需給状況を緊張感を持ってモニタリングし、大規模な発電所の設備トラブル等によって厳しい需給バランスが見込まれる場合には、前々日からの準備情報の発信や前日の注意報および警報の発令、緊急速報メールの配信といった対応を迅速に行う体制を整えています。

供給力確保に向けた構造的対策と関係者への要請

原子力発電の再稼働や追加供給力の緊急調達による備え

予断を許さない需給状況に対して、供給サイドでは多角的な対策が講じられます。

発電所の計画外停止を未然に防ぐための保安管理の徹底や、高需要期を避けた補修点検時期の調整、さらには燃料ガイドラインに基づく燃料確保の徹底が発電事業者に対して強く要請されました。

加えて、構造的な課題の解決に向けて、連系線の増強や容量市場および長期脱炭素電源オークションの的確な運用が進められます。

特に注目されるのは、再生可能エネルギーの最大限の活用に加え、安全確保と地元の理解を大前提とした上で東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機などの原子力発電所の再稼働が進められている点です。

これにより、脱炭素電源を供給力として最大限に活用していく方針が示されました。

需要サイドの対策推進と緊急時のセーフティネット

ディマンドリスポンスの拡大と随意契約による供給力確保

需要サイドの対策としては、企業や家庭向けの省エネ支援策が引き続き推進されます。省エネ設備の導入補助や省エネ診断の実施に加え、電力需要が多い時間帯の消費を抑えたり時間をずらしたりするディマンドリスポンスのさらなる普及拡大が図られます。

また、万が一緊急に供給力が不足する事態に陥った場合には、通常の公募手続きを経ずに一般送配電事業者が発電事業者と随意契約を結んで追加の供給力を調達できるという緊急臨時的なルールも設けられました。

これにより、異常気象や突発的な設備トラブルが生じた際にも、国民生活に不可欠な電力を安定的に供給するための重層的なセーフティネットが確保されることになります。

一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の運営する電力・脱炭素無料ニュースサイト

Section image