第10回次世代型太陽電池官民協議会開催。ペロブスカイト太陽電池の社会実装を目指す

· 太陽光発電,再エネ

第10回次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会2026年5月20日、経済産業省で開催されました。

東京理科大学の植田穣教授を座長とし、関係省庁や民間企業、業界団体が幅広く参加する本協議会では、次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の早期社会実装と産業競争力の強化に向けた詳細な議論が行われました。

日本は現在、従来のシリコン太陽電池のシェアを特定国に過度に依存しており、経済安全保障やエネルギー安全保障の観点から、化石燃料に依存しない国産の再生可能エネルギー源の確保が急務となっています。

ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素は日本が世界シェアの約三割を占めており、製造プロセスや封止技術のノウハウを含めて我が国が強い競争力を持ちうる勝ち筋の分野であることから、政府は次世代型太陽電池戦略に基づき、世界に引けを取らない規模とスピードで量産技術の確立、生産体制の整備、そして需要の創出を三位一体で進める方針を明確にしています。

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各省庁の取り組み

本協議会では各省庁から具体的な導入支援策が報告されました。

環境省

は政府が保有する施設における導入ポテンシャル調査の結果を報告し、屋根だけでなく外壁や窓などの空きスペースを活用することで、約十一万キロワットの導入ポテンシャルがあることを示しました。

国土交通省

は道路、鉄道、空港、港湾といった広大なインフラ空間への導入を進める方針を示しています。

具体的には、高速道路の遮音壁や駅舎のプラットフォーム、空港の貨物施設などへの展開が想定されています。社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業として、西日本高速道路株式会社が採択され、名神高速道路の桂川パーキングエリア上り線において障がい者用駐車スペースの屋根にペロブスカイト太陽電池を設置する予定であることが報告されました。

さらに、既存の構造物に安全に設置するため、設計や施工に関するガイドラインの策定と継続的な精緻化が進められていることも共有されました。

サプライチェーン構築の現状

技術開発と生産体制構築の面では、2030年度までにフィルム型で1キロワットアワーあたり14円以下、さらに高効率なタンデム型で12円以下という発電コストの実現を目指しています。

経済産業省は1000億円を超えるグリーンイノベーション基金を活用し、大面積での塗布技術や耐久性の向上に向けた研究開発を強力に支援しています。

これに加えて、グリーントランスフォーメーションを推進するサプライチェーン構築支援事業として約497億円の予算を計上し、国内にギガワット級の生産体制を早期に整備するための設備投資支援を展開しています。

タンデム型太陽電池については、多様な素材との組み合わせによる高効率化が図られています。また、国内市場のみならず、国際的な標準化の推進やインドなどの同志国との連携も深めています。

2026年初頭には日印の代表企業によるビジネスマッチングを目的としたミッションが開催されるなど、強靭なサプライチェーンを世界に先駆けて構築し、海外展開を見据えた取り組みが加速しています。

日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会の設立

政府による多角的な支援策と並行して、民間企業による自主的な普及促進の動きも本格化しています。

本協議会において、一般社団法人日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会の設立が正式に報告されました。

ペロブスカイト太陽電池が社会インフラとして広く受け入れられるためには、長期的な安全性や品質保証、製品規格の標準化、サプライチェーンの円滑な構築、さらには使用後のリサイクル技術の確立など、個別の企業努力だけでは解決が困難な共通課題が山積しています。

新しく設立された協議会は、太陽電池の製造企業にとどまらず、建設業や施工企業などの関連企業が幅広く協力し合う枠組みを提供します。

日本製のペロブスカイト太陽電池が国内外で健全に普及していくために、業界全体でルールの形成や品質の担保に取り組み、多様な設置場所における確実な導入を後押しすることが期待されています。

スピードを重視した政策展開の加速

ペロブスカイト太陽電池は、従来の重量のある太陽光パネルでは設置が難しかった耐荷重性の低い建物の屋根や、オフィスビルの壁面など、都市部の限られた空間での発電を可能にする革新的な技術です。新たに策定された第七次エネルギー基本計画においても、2040年に国内で約20ギガワットの導入を目指すという野心的な目標が明記されました。

この目標を達成するためには、単に技術開発の成功を待つのではなく、公共部門による率先した調達や、環境省が推進する民間企業における自家消費の支援事業などを通じて、市場の予見性を高める初期需要を継続的に創出していく必要があります。

第10回官民協議会での議論を通じて、各省庁の横断的な施策と民間団体の取り組みが密接に連携し、量産体制の構築と需要拡大を同時並行で進める道筋が明確に示されました。

今後は、示された戦略に基づくアクションを着実に実行に移し、カーボンニュートラルの実現と日本産業の国際競争力強化という二つの目的を果たすための官民一体となった挑戦がさらに加速していくことになります。

過去にも進められていた日本の薄型太陽電池の海外展開

官民が連携し、日本の優れた太陽光パネルや蓄電池を海外に展開する取り組みは、実は、2010年ごろに私たち一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の前身であるNPO法人Regional Task Force(RTF)でも行われていました。

RTFのメンバーは、当時太陽光パネルや蓄電池で圧倒的な競争力を保持していたシャープ・京セラ・パナソニック・ソーラーフロンティア・東芝・日立に加えて、3メガバンク・商社などでした。このうち積水化学は、世界に先駆けて薄型太陽電池のアジアへの展開を図っていました。

RTFは、アジア開発銀行(ADB)が設立を支援し、2010年12月には東京で国際会合を開催し、経済産業副大臣や財務副大臣に加え、アジアや欧州の政府関係者らを招いて、500人規模で日本製の太陽光発電・蓄電池技術の海外普及や市場形成について議論が行われた経緯があります。しかし、その後、東日本大震災以降の社会・政策環境の変化などもあり、こうした活動は休止状態となっていました。

従って、今回、JPSCの設立によって再び国内の量産化や標準化、国際展開に向けた動きが具体化し始めたことで、日本の高品質な次世代太陽電池技術の海外展開機運が再び高まりつつあることが期待されるところです。

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