東大先端研、余剰再エネを活用した「蓄電池×水素」制御技術を開発 水素製造コスト低減へ
東大先端研、余剰再エネを活用した「蓄電池×水素」制御技術を開発 水素製造コスト低減へ
東京大学先端科学技術研究センターは、2026年5月、余剰再生可能エネルギーを活用して水素製造コストを低減する「蓄電池×水素」の統合制御技術を開発したと発表しました。
同センターによると、太陽光発電や風力発電の大量導入が進む中、出力抑制や市場価格の急変動が課題となっており、余剰電力を有効活用しながら水素を製造するエネルギーマネジメント技術の重要性が高まっています。今回の研究では、蓄電池と水電解装置を組み合わせ、電力市場価格や再エネ発電量に応じて最適に運転を切り替える制御手法を構築しました。
研究チームは、電力価格が低い時間帯や再エネ余剰時に優先的に水素製造を行い、一方で短周期の変動には蓄電池を用いて対応することで、設備全体の収益性向上を図ったとしています。

再エネ出力抑制を“損失”から“収益源”へ転換
近年、国内では太陽光発電の導入拡大に伴い、九州エリアを中心に再エネ出力制御が増加しています。再エネが大量に発電されても需要が追いつかない場合、発電停止を求められるケースが増えており、発電事業者にとっては収益機会の損失となっていました。
今回の研究では、この余剰電力を水素製造に振り向けることで、従来は捨てられていた電力を価値化する考え方を採用しています。さらに、蓄電池を組み合わせることで、電力市場価格の変動や水電解装置の急激な負荷変動にも柔軟に対応できる点が特徴です。
研究では、卸電力市場価格(JEPX)や再エネ出力変動を考慮したシミュレーションを実施。蓄電池のみ、あるいは水素製造のみの場合と比較して、両者を統合制御する方が経済合理性が高い結果が示されました。
また、水電解装置は起動停止を繰り返すと効率低下や設備劣化につながるため、蓄電池を介して出力平滑化を行うことが、水素製造設備の寿命延長にも寄与するとみられています。
「電力」と「水素」を統合制御する時代へ
今回の研究は、単なる水素製造技術ではなく、「電力系統」「蓄電池」「水素」を統合的に運用する次世代エネルギー制御技術として注目されています。
特に今後は、再エネ比率の上昇によって電力価格の乱高下が常態化する可能性が指摘されており、電力をそのまま使うだけでなく、蓄電・水素・熱などへ柔軟に転換する“セクターカップリング”の重要性が高まっています。
欧州では、再エネ余剰時に電解装置を稼働させるPower-to-Hydrogen(P2H)モデルの実装が進みつつあり、日本でもGX政策や水素基本戦略の中で導入拡大が検討されています。
今回の東大先端研の研究は、日本型の再エネ制約環境において、水素製造を「高コストな負担」ではなく、「余剰再エネを利益化する柔軟性リソース」として活用する方向性を示した点に意義があります。今後、データセンターや工場、地域マイクログリッドなどとの連携も含め、電力需給調整の新たな選択肢として展開が注目されそうです。
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