SBTi、2026-2030戦略を公表 気候目標「設定」から「実装」支援へ軸足転換

· サステナビリティ,アワリーマッチング,Scope2

Science Based Targets initiative(SBTi)は、2026年5月21日、新たな「2026-2030 Strategy」を策定し、企業の気候目標設定・認証中心だった従来方針から、脱炭素施策の実装支援へ重点を移す新戦略を開始すると発表しました

SBTiは、CDP、UN Global Compact、World Resources Institute(WRI)、WWFなどが共同運営する国際的な気候目標認証機関で、世界で1万社超が目標設定や認証に関与しています。

今回公表された戦略では、「Pivot toward implementation(実装への転換)」を主要テーマに掲げ、企業が実際に排出削減へ結びつけられる仕組みづくりを強化する方針です。

「企業が影響可能な範囲」を重視

SBTiは新戦略の中で、画一的な目標設定から、企業ごとの事業構造や影響可能範囲に応じた「tailored approach(個別最適化型)」へ移行する方向性を示しました。

特にScope3排出量については、サプライチェーン全体の排出把握や削減実装が課題となっており、単なる会計・認証だけでなく、実際の削減行動へつなげる必要性を強調しています。

また、ISSB、CSRD、GHG Protocol、CDPなど、気候関連基準や開示制度の乱立による「fragmentation(分断)」への対応も重点項目に挙げられました。企業側の実務負荷軽減や、基準間の整合性向上を進める考えです。

加えて、鉄鋼、セメント、航空、海運など高排出セクターや、グローバルサウス地域への適用拡大も盛り込まれています。

実排出との整合性が重視される方向へ

近年は、再エネ調達においても「実際にいつ、どこで発電された電力か」を重視する議論が強まっています。

従来の年間一致型の再エネ調達では、昼間の太陽光由来環境価値を夜間需要へ適用するケースも多く、実際の排出削減との乖離が指摘されていました。

こうした中、Googleや一部欧州企業が進める「24/7 Carbon-Free Energy」や、時間単位で発電と需要を一致させるアワリーマッチング型の調達手法が注目されています。

SBTiの今回の戦略では、企業が「実際に影響可能な排出削減」を重視する方向性が示されており、今後は再エネ調達でも同時性や地域整合性を考慮した現実的・段階的なアワリーマッチング実装が広がる可能性があります。特にデータセンターや製造業など大量電力需要分野では、時間一致型のScope2管理が新たな競争軸になることも期待されます。

一般社団法人アワリーマッチング推進協議会の運営する電力・脱炭素無料ニュースサイト

Section image