フジクラ、5300億円投資の新中計を発表 AIデータセンターと核融合エネルギーを成長軸に

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株式会社フジクラは、2026年5月19日、2026年度から2028年度までの新たな中期経営計画を発表しました。AIデータセンター向け光ファイバーケーブル増産や次世代エネルギー分野への投資を柱とし、3年間で総額5300億円を投資します。

同社は2026年度以降を「第4の創業」と位置付け、2035年度には売上高2兆8000億円、営業利益5800億円を目指す長期目標も掲げました。2028年度時点では売上高1兆6000億円、営業利益3150億円を計画しています。

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AIデータセンター向け需要拡大へ対応

今回の投資計画で特に重視されているのが、AIデータセンター(DC)関連事業です。生成AIの急拡大に伴い、GPUサーバー間を接続する高速光通信需要が世界的に急増しています。

フジクラは、超多芯光ファイバーケーブルや光接続部材などを重点領域と位置付け、北米を中心としたAIインフラ需要取り込みを進めます。近年のAIクラスタでは、従来型データセンターを大きく上回る通信容量が必要となっており、光配線の高密度化・低損失化が重要技術になっています。

特にAI向けデータセンターでは、InfiniBandや高速Ethernet向け光接続需要が急増しており、巨大GPU群を低遅延で接続する光インフラが競争力を左右し始めています。

また、AIデータセンターは膨大な電力を消費するため、電力インフラとの一体整備も世界的テーマとなっています。近年は再エネ、天然ガス、原子力、蓄電池を組み合わせた“AI時代の電力確保競争”が激化しています。

核融合エネルギー分野も強化

今回の中計では、「次世代エネルギー」分野への投資も重点項目に位置付けられました。中でも核融合(フュージョン)関連技術への期待が示されています。

核融合は、超高温プラズマを磁場で閉じ込めて発電へ利用する次世代エネルギー技術です。現在、欧米や日本では、超伝導磁石、高耐熱材料、高電流導体などの産業基盤技術への投資が加速しています。

フジクラは、長年培ってきた超電導線材や高機能材料技術を活用し、将来的なフュージョンエネルギー市場を視野に入れています。核融合では巨大磁場を発生させる高性能超伝導導体が不可欠であり、日本企業の素材・部材技術への期待も大きい状況です。

近年は、米国・欧州を中心に民間核融合スタートアップへの投資が急増しており、AIデータセンター時代の大規模クリーン電源候補としても注目されています。

“電力+通信”インフラ企業への転換も

今回の中計は、単なるケーブルメーカーから、「AI・電力・次世代エネルギー」を支えるインフラ企業への転換色が強い内容となっています。

近年は、AIデータセンターの急増によって、通信インフラと電力インフラが同時にボトルネック化しています。高速光通信だけでなく、大容量送電網、海底ケーブル、蓄電池、低炭素電源などを含めた巨大インフラ投資が世界的に加速しています。

また、AI産業では「どの電力を、いつ利用するか」という電力品質や環境価値への関心も高まっており、24時間安定供給可能な低炭素電源確保が重要課題となっています。フュージョンを含む次世代電源への投資は、こうした長期的な電力制約を見据えた動きともいえます。

今回のフジクラの大型投資方針は、AI時代における“通信と電力の融合インフラ競争”を象徴する動きとなる可能性があります。

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