欧州で「再エネ水素回廊」構想が進展、スペイン太陽光と北欧洋上風力を連携
欧州で「再エネ水素回廊」構想が進展、スペイン太陽光と北欧洋上風力を連携
スペインの太陽光発電とデンマークの洋上風力を組み合わせたグリーン水素供給モデルに関する研究が公表されました。
研究では、異なる季節特性を持つ再生可能エネルギーを組み合わせることで、水素製造コストの変動を抑制しながら、欧州域内で安定的なグリーン水素供給網を構築できる可能性が示されています。
スペイン太陽光とデンマーク洋上風力の季節補完性を分析
研究では、スペインの太陽光発電(PV)とデンマークの洋上風力を組み合わせた水素製造モデルを分析しています。
スペインのPVは春季から夏季にかけて高い発電量を示す一方、デンマークの洋上風力は秋季から冬季にかけて発電量が増加する傾向があると整理されています。
こうした季節補完性によって、年間を通じた再エネ供給の変動を平準化でき、電解装置の稼働率向上や水素製造コストの安定化につながる可能性が示されています。
また研究では、単一地域の再エネ依存ではなく、欧州域内で異なる気候特性を持つ地域を接続することで、グリーン水素供給網の経済性を高められる可能性を指摘しています。
試算では、再エネ由来水素を約2ユーロ/kg水準で供給できる可能性が示されており、欧州産業向けの低炭素水素市場形成に向けた実現性評価として位置づけられています。
欧州水素回廊「H2med」と接続インフラ整備
研究で前提の一つとなっているのが、欧州域内で整備が進む水素輸送インフラです。
特に、スペイン・ポルトガル・フランスを結ぶ「H2med」構想は、将来的にドイツを含む中欧圏への接続も視野に入れた広域水素回廊として位置づけられています。

H2medでは、Barcelona–Marseille間を接続する海底パイプライン「BarMar」が中核インフラの一つとして計画されています。
スペインは欧州有数の太陽光資源を有し、ポルトガルも再エネ拡大を進めています。一方、北欧ではデンマークを中心に大規模洋上風力の導入が進んでおり、南欧と北欧を組み合わせた広域エネルギー統合が現実味を帯び始めています。
また、スペインのガス・水素インフラ事業を担うEnagásは、既存ガス網を活用した水素輸送網整備を進めており、欧州全域での水素市場形成を見据えたインフラ開発が進行しています。
広域連携による再エネ活用モデルへ
今回の研究は、単純に再エネ設備を増設するだけではなく、「異なる季節特性を持つ地域を広域連携する」という欧州型エネルギー戦略の方向性を示しています。
特に、水素というエネルギーキャリアを介在させることで、電力系統制約を超えたエネルギー輸送が可能となり、再エネ変動を広域で吸収する仕組みとして期待されています。
欧州ではAIデータセンター、鉄鋼、化学産業など電力多消費産業の脱炭素需要が急増しており、再エネ由来水素を活用した域内供給網の整備がエネルギー安全保障政策とも一体化し始めています。
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