圧縮空気蓄電が大型化、カナダで4GWh計画 欧米で長時間蓄電の導入加速

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カナダの長時間蓄電(LDES)開発企業Hydrostorは、2026年5月、オンタリオ州で大規模な圧縮空気エネルギー貯蔵(A-CAES)プロジェクト「Quinte Energy Storage Centre」を開発すると発表しました。

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初期フェーズは500MW・4GWh規模で、2030年代初頭の稼働を目指します。将来的には8GWh〜16GWh級への拡張も計画されています。

地下空洞に圧縮空気を貯蔵する長時間蓄電

HydrostorのA-CAESは、余剰再エネ電力を用いて空気を圧縮し、地下の岩盤空洞に高圧で貯蔵する方式です。需要増加時には圧縮空気を放出してタービンを回し、再び電力として供給します。

同社によると、施設寿命は50年以上を想定しています。8時間超の長時間放電に対応できることから、再エネ大量導入時代の調整力として期待されています。

Hydrostorは現在、カナダだけでなく米カリフォルニア州でも500MW級の圧縮空気蓄電プロジェクトを進めています。

オンタリオ州では、2050年までに電力需要が65%増加し、2035年までに12〜15GWの供給力不足が見込まれており、長時間蓄電設備の導入が政策課題となっています。

欧州でも長時間蓄電の制度整備と案件形成

こうした動きは欧州でも広がっています。欧州の蓄電業界団体Energy Storage Europeは、長時間蓄電を含む大規模ストレージの導入拡大が、再エネ大量導入に不可欠との提言を公表しています。

同団体は、長時間蓄電を活用することで、送電線増強コストや再エネ出力抑制を削減できると指摘しています。欧州では近年、数日規模で風力・太陽光発電が低下する「Dunkelflaute(暗い凪)」への対応が重要課題となっており、広域連系だけでは不足し、長時間蓄電の大規模導入が必要との研究も相次いでいます。

またEU支援プロジェクト「Air4NRG」では、等温圧縮技術を活用した次世代CAES開発が進められており、200kW・2MWh級の実証機を用いて、70%超の往復効率を目指しています。

さらに、イスラエル系Augwind Energyは、ドイツで商用規模「AirBattery」プロジェクトを進めており、欧州でも地下圧縮空気型ストレージの商業化が始まりつつあります。

蓄電池・揚水・長時間蓄電の組み合わせへ

再エネ比率が高まる欧米では、短時間応答に優れるリチウムイオン電池、数時間〜半日規模を担う揚水発電、さらに数日単位の需給調整を担う長時間蓄電を組み合わせる方向へシフトしています。

特にAIデータセンターや電化需要の拡大に伴い、太陽光と風力の変動を長期間吸収する必要性が高まっており、欧州では「ベストミックス型ストレージ構成」の議論が加速しています。

圧縮空気蓄電は、既存の蓄電池や揚水を代替するというよりも、それらを補完する新たな長時間調整力として位置づけられ始めています。 (Hydrostor)

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