【英国NESOのGC-EAC取引実証報告(第4回)】英国NESO、24/7 CFE証書の取引実証を実施 価格形成と市場成立メカニズムを検証

· アワリーマッチング

英国のNational Energy System Operator(NESO)は、24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)証書の取引実証(トレーディング・パイロット)を実施し、その結果を発表しました。本パートでは、取引設計、価格形成、オークション結果について具体的に整理されています。

取引実験スキーム

本取引実証の目的は、24/7 CFE証書の取引が実際に成立し得ることを示す点にあります。Nord PoolおよびGranular Energyは、欧州の統合電力市場の枠組みを補完する形で、事後オークション方式による試験取引を実施しました。

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この取り組みは、時間単位のクリーンエネルギー価格の参照指標を確立すること、大小の市場参加者に対する証書へのアクセス改善と流動性向上、需要家・供給者・リスク管理者に対する市場シグナルの提供、柔軟性資源(蓄電や需要応答)に追加収益機会を与えることを目的としています。最終的には、電力市場と証書市場の乖離を縮小し、クリーンエネルギーへの移行を加速することが狙いです。

実証は2段階で実施され、第一段階ではステークホルダーへのヒアリングと市場設計の検討が行われました。その結果を踏まえ、EDF、RWE、Good Energyなどの市場参加者が参画し、2024年9月から取引実証が開始されました。

取引メカニズムとクリアリング

取引はブラインドオークション方式で実施され、需要曲線と供給曲線の交点に基づいて市場価格が決定されます。価格と数量の条件が交差点よりも有利な位置にある注文は約定し、市場クリアリング価格が形成されます。

注文はスプレッドシート形式で提出され、各時間帯について最大5段階の価格設定が可能とされました。対象期間は2024年2月および5月であり、価格と数量の組み合わせによる入札が行われました。

契約条件としては、取引単位はMW、最小単位は0.01MW、契約期間は1時間とされ、価格単位はポンド/MWhで設定されています。取引は両方向匿名のブラインドオークションで実施され、決済はpay-as-clear方式が採用されました。

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オークション結果

分析では、グリーンプレミアム(24/7 CFE証書の調達コスト)は、時間一致率が75%を超えたあたりから急激に上昇する傾向が示されています。

2024年2月および5月の試験では、約75%の時間帯において価格が形成され、それ以外の時間帯では価格がゼロとなるケースも確認されました。これは、供給が需要を上回る時間帯では証書価値が発生しないことを示しています。

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例えば、50%の需要を証書でカバーする場合、限界コストは約20ポンド/MWh、平均コストは約9.1ポンド/MWhと試算されています。一方、100%カバーを目指す場合、限界コストは最大500ポンド/MWhに達し、平均コストも約37.6ポンド/MWhまで上昇します。

この結果は、完全な時間一致を達成するためには高いコストが必要となる一方、一定の一致率までは比較的低コストで達成可能であることを示しています。

電力価格との関係性

証書価格と電力価格は完全には連動しておらず、それぞれ異なる要因によって形成されます。証書価格は主に供給不足の時間帯に高騰する一方、電力価格は需要ピーク時に上昇する傾向があります。

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例えば、風力発電が豊富な場合にはピーク需要時でも証書価格が低いことがあり、逆に夜間など需要が低い時間帯でも太陽光発電が存在しないため証書価格が高くなる場合があります。

分析では、証書価格と電力価格を組み合わせた「グリーン電力価格」が提示されており、75%以上の証書カバー率では証書コストが全体価格の主要要因となることが示されています。

このように、時間一致型証書は単なる環境価値の取引を超え、電力価格構造や需給行動に影響を与える市場メカニズムとして機能する可能性が示されています。

英国NESOのGC-EAC取引実証報告書

解説者:株式会社電力シェアリング・一般社団法人アワリーマッチング推進協議会