【英国NESO実証(第9回)】ゾーン市場における24/7 CFE証書の影響を分析 地域間格差と投資誘導効果を提示

· アワリーマッチング

英国のNational Energy System Operator(NESO)は、ゾーン価格制度下における24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)証書の影響について分析結果を発表しました。本パートでは、地域間の需給差、価格形成、投資誘導効果が整理されています。

ゾーン市場における需給構造

ゾーン型電力市場では、CFE需要が満たされる容易さは地域ごとに大きく異なります。分析では、英国市場を複数の価格ゾーンに分割した場合の感度分析が行われており、その結果は国際連系を含む市場にも適用可能とされています。

各ゾーンには「ブラウン市場」と「CFE市場」が存在し、異なるゾーン間で証書を取引する場合には、実際の電力フローが存在することが前提条件となります。送電容量や系統制約の影響により、ゾーン間でのCFE供給の移動には制限が生じます。

図示では、2030年時点において地域ごとにCFE供給と需要の差が大きく異なることが示されており、ゾーン間で需給バランスに顕著な差が生じる構造が確認されています。

ゾーン価格制度との関係

分析では、24/7 CFE証書の取引はゾーン価格制度の導入よりも早期に実現可能とされています。既存市場の経験から、時間一致型証書は2年程度で導入可能である一方、ゾーン価格制度への移行はより長期的な検討を要するとされています。

そのため、まず証書市場を先行的に整備することで、国内の時間単位証書市場に関するルールや取引基盤を構築し、その後のゾーン市場設計に活用することが有効とされています。

地域別価格の差異

ゾーン市場では、証書価格は地域ごとに異なる水準となります。CFE需要を満たす能力は主に風力発電の出力に依存しており、風力比率が高い地域では証書価格が低くなる傾向があります。

分析では、スコットランドおよびイングランド東部において価格が低くなる一方、南部やウェールズでは供給制約により価格が高くなる傾向が示されています。

これは、CFE供給の地域偏在と送電制約により、証書の輸送が制限されるためであり、結果として地域間で価格差が発生します。

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地域間制約と価格形成

CFEの輸送能力が制限される場合、供給が不足する地域では証書価格が上昇します。特に南部イングランドや南ウェールズでは、この制約により高い価格が形成される可能性が示されています。

図示では、電力価格と証書価格の地域別平均値が示されており、両者が異なる分布を持つことが確認されています。これは、電力市場と証書市場の価格形成要因が異なることを反映しています。

投資誘導効果

ゾーン市場における24/7 CFE証書は、地域別の投資インセンティブを強化する効果を持ちます。価格が高い地域では、新規の再エネ発電や蓄電池の導入が促進される可能性があります。

証書価格の地域差は、発電設備や蓄電設備の立地選択に影響を与え、供給不足地域への投資を誘導する役割を果たします。特に、蓄電池は需給調整能力を活かし、価格差を収益機会に転換できるため、投資が集中する可能性があります。

このように、24/7 CFE証書は単なる環境価値の評価にとどまらず、電力システム全体の空間的最適化を促す市場メカニズムとして機能することが示唆されています。

英国NESOのGC-EAC取引実証報告書

解説者:株式会社電力シェアリング・一般社団法人アワリーマッチング推進協議会