【英国NESO実証(第6回)】GC-の価格形成を分析 需給逼迫時に急騰し不確実性も高いと指摘
【英国NESO実証(第6回)】GC-の価格形成を分析 需給逼迫時に急騰し不確実性も高いと指摘
英国のNational Energy System Operator(NESO)は、24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)証書の価格形成メカニズムについて詳細な分析結果を発表しました。本パートでは、証書価格の構造、需給バランスとの関係、不確実性要因について整理されています。
24/7 CFE証書価格の基本構造
24/7 CFE証書の価格は、供給に対して需要が不足する時間帯において急激に上昇する特徴を持ちます。CFE供給が需要を下回る場合、証書の希少性が生じ、価格が上昇します。需要が供給を上回るほど、この価格上昇は顕著になります。
分析では、証書需要が低い場合には多くの時間帯で供給が需要を満たし、価格はゼロとなる一方、需要が増加するにつれて供給不足の時間帯が増加し、価格が上昇する構造が示されています。
ティッピングポイントの存在
証書需要と供給の関係には明確な転換点(ティッピングポイント)が存在します。証書需要が供給の約40%に達するまでは、すべての需要を満たすことが可能ですが、この水準を超えると未充足時間が増加し始めます。
この転換点以降は、需要の増加に伴い未充足時間が線形的に増加し、結果として証書価格が上昇します。分析では、ベースロード需要やオフピーク需要においても同様の傾向が確認されており、2030年には平均で約60%の需要が時間一致でカバーされる想定が示されています。
この構造は、原子力やバイオマスといった安定供給源の存在によって左右される点も指摘されています。
制度設計と価格の不確実性
証書価格は制度設計に強く依存します。現在のREGO制度と同様に任意購入とした場合、需要は消費者の選好に依存し、価格形成の不確実性が高まります。
分析では、価格形成に影響を与える主要な不確実性要因として、時間粒度の定義(15分・30分・1時間)、許容される一致率、地域制約、蓄電池の扱い、既存証書制度からの移行ルールなどが挙げられています。
また、消費者の選好データが不足しているため、価格予測には一定の限界があるとされています。

長期的な価格動向
電力システムの脱炭素化が進み、CFE供給が増加するにつれて、証書価格は低下する傾向が示されています。分析では、2030年から2050年にかけて再エネおよび原子力容量が増加し、平均証書価格が低下するシナリオが提示されています。
一方で、報告基準の厳格化や需要増加が続く場合には、価格低下が抑制される可能性も指摘されています。初期段階では需要が供給の45〜60%程度となるケースが想定されており、この範囲では一定の価格水準が維持されると見られています。
電力価格との関係と変動性
証書価格は電力価格と完全には連動せず、異なる要因により変動します。特に天候条件の影響を強く受けるため、風況や日射量の変動により価格のばらつきが大きくなります。
分析では、2030年の月別価格においても大きな変動幅が示されており、証書価格の予測が困難であることが示唆されています。需要の変動も価格の不確実性を高める要因となります。
電源構成と価格への影響
CFEの定義も価格形成に影響を与えます。消費者によっては風力や太陽光を重視する一方、バイオマスや原子力に対する評価が異なるため、証書価格は電源種別ごとに差が生じる可能性があります。
分析では、原子力をCFE市場から除外した場合、ベースロード供給が減少し、すべての期間において証書価格が上昇する結果が示されています。これは、安定電源の存在が価格安定化に寄与することを示唆しています。
蓄電容量と価格の関係
蓄電池の導入量も証書価格に大きな影響を与えます。蓄電容量が増加する場合、供給の時間的不一致が緩和され、価格は低下する傾向があります。
一方で、蓄電容量の増加が限定的な場合、供給不足時間が増加し、証書価格は上昇します。分析では、蓄電容量の成長が遅いケースにおいて、平均証書価格が大幅に高くなる結果が示されています。
この結果は、蓄電池が時間一致型市場において重要な役割を果たすことを示しており、価格形成の主要要因の一つとして位置付けられています。
英国NESOのGC-EAC取引実証報告書
解説者:株式会社電力シェアリング・一般社団法人アワリーマッチング推進協議会
【第1回】全体の実施概要
【第2回】実証目的:電力システムと再エネ統合
【第3回】GC-EAC取引スキームの基本
【第4回】価格形成と市場メカニズム
【第5回】電力需給制約との関係性
【第6回】実験結果:価格形成
【第8回】電力系統運用への影響
【第9回】ゾーン市場:地域間格差と投資誘導効果
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