経済産業省委員会、中東情勢を受けた資源開発の方向性を議論―原油の代替調達は7割超へ拡大、LNGの地下ガス貯蔵も検討
経済産業省委員会、中東情勢を受けた資源開発の方向性を議論―原油の代替調達は7割超へ拡大、LNGの地下ガス貯蔵も検討
経済産業省は、2026年5月14日、第26回 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 資源開発・燃料供給小委員会を開催し、化石燃料を巡る国際情勢等を踏まえた資源開発等の方向性について議論しました。
緊迫する中東情勢を受けた日本のエネルギー安全保障の現状と今後の戦略的方針をまとめた資料を提示しました。これは、原油の調達先多角化やLNGの貯蔵能力強化、JOGMECを通じた上流権益の確保といった供給網の強靭化に向けた具体的な施策で構成されています。同資料の内容と、議論について解説します。
中東情勢の緊迫化と原油の代替調達の進展
日本の原油輸入は中東への依存度が94.0%(2025年実績で日量約236万バレル)、ホルムズ海峡依存度が93.0%と極めて高い水準にあります。足元の中東情勢の悪化を受け、政府および企業は米国や中南米、アジア太平洋等からの代替調達を急速に進めており、5月には調達全体の約6割(日量約140万バレル)、6月には約7割以上(日量165万バレル以上)を代替調達で賄う目処が立っています。
特に米国からの調達は前年比で約8倍へと急増しており、さらに5月には中央アジア、6月にはアフリカへと調達先を広げるなど供給源の多角化が図られています。この順調な進展により、不足分を補うための国家備蓄等の放出量を抑えつつ、ナフサなど燃料以外の用途への供給も継続した上で、2026年末頃まで石油の供給を確保できる見通しとなっています。
LNGの貯蔵能力強化と「地下ガス貯蔵」の可能性
LNG(液化天然ガス)については、中東依存度は10.8%にとどまるものの、国内の在庫は電力・ガス会社合計で約400万トン程度であり、これはホルムズ海峡を経由する輸入量の約1年分に相当します。万が一の供給途絶が電力危機に直結するリスクがあるため、安定供給の観点から陸上タンクや洋上備蓄を含めたLNG貯蔵能力のさらなる強化が喫緊の課題とされています。
その強化手段の一つとして検討されているのが「地下ガス貯蔵」です。これは枯渇・生産中のガス田や帯水層、岩盤層などの地層内にガスを圧入して貯蔵する方法で、欧州などでは豊富な貯蔵可能量を確保している事例があります。

国内でも枯渇ガス田等での実例があるという利点を持つ一方、国内での事例自体はまだ限定的であり、ガス圧入に必要な設備やパイプラインの建設などに多額の初期費用がかかるため、経済性を慎重に精査する必要があるという課題も抱えています。
上流権益の確保と国際協力・国内開発の推進
エネルギー安定供給に向けたさらなる環境整備として、2026年4月1日から運用を開始したJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の新しい出資制度などを活用し、産油国・産ガス国の国営石油会社(NOC)の株式取得やLNG液化・貯蔵への出資を通じた上流権益の確保を強力に支援します。
加えて、原油やLNGの海上輸送に不可欠な船舶・貨物保険および第三者賠償保険(P&I保険)を、欧州の保険会社の動向に左右されずに確実に手当てする仕組みの構築も進められます。
また、アジア諸国の脱炭素化を支援するため、アジア開発銀行(ADB)やERIAと連携し、トランジション・ファイナンスを推進します。
国内資源開発においては、三次元物理探査船「たんさ」を用いたデータ空白地帯である浅海域でのデータ取得や、国内にも賦存の可能性が高いとされる次世代エネルギー「天然水素」の探鉱・開発に向けた事業環境の整備など、中長期的な視点での取り組みも加速させる方針です。
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