IEA事務局長、「7つの確信」を発信。

電気の時代」に突入と指摘

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国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は19日、「エネルギーの「7つの確信」について重要な提言」というメモを発表しました。そこでは、「不確実性の吹雪」に直面する世界において、指針となるべき7つのトレンドを挙げています。

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1. 「電気の時代」への突入

石油やガスの利用は続きますが、電力需要は全エネルギー需要の2倍の速さで成長しています。AI、データセンター、EV、ヒートポンプがその原動力であり、今やエネルギー投資の半分以上が電力分野に向けられています。

2. 再生可能エネルギーの継続的成長

競争力の高さから、太陽光発電を中心に再エネが拡大しています。インドのような太陽光資源に恵まれた国の台頭や、次世代地熱発電などの新技術が成長を後押ししています。

3. 原子力発電の復活

2010年代の停滞を経て、原子力は再び上昇に転じました。現在、過去30年で最高水準の建設が進んでおり、ハイテク企業もデータセンター用の安定した低炭素電源として注目しています。

4. エネルギー安全保障リスクの多様化

化石燃料の供給リスクに加え、停電などの「電力セキュリティ」や「重要鉱物」の脆弱性が顕著です。特に戦略鉱物の精製は中国が約7割を占めており、気候変動による異常気象やサイバー攻撃への耐性強化も急務です。

5. 国家による主導権の掌握

エネルギーが経済・安全保障の直結事項となり、政府の介入が強まっています。市場任せではなく、中国依存を脱却するための供給網構築や、政治的判断に基づく資源取引が増加しています。

6. 主要燃料・技術の「買い手市場」への移行

石油やLNGの供給過剰、電池や太陽光パネルの生産能力拡大により、価格が下落しやすい局面に入ります。これは輸入国には有利ですが、投資不足を招き将来の火種になる恐れもあります。

7. 新たなプレイヤーの台頭

世界のエネルギー需要の重心は、これまでの中国から、インド、東南アジア、中東、アフリカへと移っています。中国ほどの劇的な成長を単独で再現する国はありませんが、これらの新興国が市場を形作っていくでしょう。

ファティ・ビロル事務局長の経歴

トルコ出身の経済学者。2015年より国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を務めている。石油輸出国機構(OPEC)で勤務。IEAでは長年チーフエコノミストとして、世界で最も権威あるエネルギー分析「World Energy Outlook」の責任者を務めた。2021年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。