トランプ大統領、ダボス会議で演説。再エネ、原子力、DCの持論を展開

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トランプ大統領は21日、スイスで開催された世界経済フォーラム年次総会において1時間超にわたる演説を行いました。

詳しくは、Youtubeをご覧いただければと思いますが、本記事では、同氏が語った全体の流れと、電力に関する発言を整理します。

全体総括

まず全体総括ですが、トランプ氏は自身の就任後12ヶ月をアメリカ史上最も劇的な経済の立て直し期間であったと定義しました。

バイデン前政権下での停滞と高インフレを打破し、株価の52回に及ぶ最高値更新や18兆ドルを超える投資確約を引き出したことを強調しています。その上で、アメリカを再び世界の経済エンジンと位置づけ、エネルギー供給の拡大こそが全ての産業覇権の鍵であると断言しました。

今回の演説で特に耳目を集めたのは、デンマーク自治領グリーンランドの買収交渉に関する言及です。北極圏の地政学的重要性が高まる中、トランプ氏はグリーンランドをロシアや中国から守り、西側の安全保障を確固たるものにできるのはアメリカのみであると主張しました。

第二次世界大戦でアメリカが同地を防衛した歴史を引用しながら、戦略的な国家安全保障の観点から交渉を即時開始することを改めて表明し、会場に緊張感を与えました。

電力に関する発言

①再エネ施策

トランプ氏は欧州が推進してきた再生可能エネルギー政策を「グリーン・ニュー・スキャム(緑の詐欺)」と呼び、歴史上最大のペテンであると猛烈に批判しました。欧州が中国製の風車を買い、自分たちの景観を破壊し、高額な損失を出している一方で、中国自身は安価な石炭や石油で成長を続けていると指摘しました。

②データセンターへの電力供給

特にAI(人工知能)競争への対応について、トランプ氏は極めて具体的な方針を示しました。

「AIを存続させ、中国に勝つためには、現在の2倍以上の電力が必要だ」と述べ、既存の送電網の限界を認めた上で、革新的な解決策を提示しました。

それは、巨大データセンターを建設するテック企業に対し、自前で発電所を建設することを許可し、その承認を2週間以内という異例の速さで下すというものです。

トランプ氏は、特定の企業名こそ伏せましたが、彼らに対し「君たちは優秀で資金も持っているのだから、自分たちで電力を生み出せ」と語り、その excess、つまり余剰電力を安価に一般の送電網へ戻すことで、全米の電気料金を下げると主張しました。

③原子力発電への回帰

さらに電源構成については、原子力発電への完全な回帰を宣言しました。「以前はリスクを懸念していたが、現在の原子力技術が達成した安全性と進歩は信じがたいほどだ。我々は原子力に全力投球する」と明言。

加えて、24時間365日の稼働が可能な安定電源として、天然ガスや石油、さらには石炭の活用も加速させると述べました。「エネルギーとは金を稼ぐためのものであり、失うためのものではない」という言葉に象徴されるように、あらゆる規制を排除して供給量を増大させ、電気料金を1年以内に半分に、ガソリン価格を1ガロン2ドル以下にまで引き下げる計画を強調しました。

総括

トランプ氏は「エネルギー支配(Energy Dominance)」によるアメリカの絶対的優位性の確保を主張しています。

そのために、安価で圧倒的な電力供給を武器に、製造業を回帰させ、AI競争に勝利し、その富でアメリカとカナダ、そして同盟国を保護する巨大な防衛網、通称ゴールデン・ドームを構築するというシナリオを主張しました。

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