欧州自動車大手が進めるバッテリーリサイクルの最前線:BMWの新拠点稼働
欧州自動車大手が進めるバッテリーリサイクルの最前線:BMWの新拠点稼働
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欧州の自動車業界では、2023年に施行された「欧州電池規則」に基づき、原材料の回収率や再利用率に対する極めて高いハードルが設定されています。
2027年以降、電池材料の85%以上を回収することが義務付けられる中、BMWをはじめとする主要メーカー各社は、独自の技術と地域ネットワークを駆使したリサイクル体制の構築を加速させています。
BMWの新拠点
自動車メーカー世界大手のBMWグループは2025年12月15日、ドイツ・バイエルン州ザルヒングにおいて、革新的なダイレクトリサイクル技術を導入した新拠点セル・リサイクル・コンピテンス・センター(CRCC)を正式に稼働させたと発表しました。

今回の新施設稼働により、BMWはバッテリー開発、製造、再利用の全工程を自社ネットワーク内で完結させるサーキュラーエコノミーの構築を加速さるとしています。
ザルヒングのCRCCで導入された技術の最大の特徴は、従来のバッテリーリサイクルとは一線を画すダイレクトリサイクルという手法です。
一般的なリサイクルで行われる高温処理や化学処理を経ることなく、使用済みのバッテリーセルや製造過程で生じる残余物を機械的に分解します。材料を完全に化学的な原子の状態まで戻さず、活物質の構造を維持したまま回収するため、極めて低いエネルギー消費で再資源化が可能です。従来のプロセスに比べてエネルギー消費が格段に少なく、生産サイクル全体のカーボンフットプリント削減に直結します。
回収された正極材などの活物質は、そのまま同州パースドルフにあるセル製造コンピテンス・センター(CMCC)での試験生産ラインへと送られ、再び次世代バッテリーへと活用されます。BMWはバイエルン州内に三つの専門センターを配置し、高度に連携させています。ミュンヘンのBCCCでバッテリーセルの研究開発および試作を実施し、パースドルフのCMCCで量産化のための試験生産を担当、そして今回のザルヒングのCRCCが生産工程から出る余剰材料やセルのリサイクルを担う三位一体の体制です。
BMW以外の欧州主要メーカーも、2026年の本格的な規制適用を見据え、それぞれ循環型戦略を展開しています。
フォルクスワーゲン(VW)グループ
フォルクスワーゲン(VW)グループは、ドイツのザルツギッターにリサイクル拠点を構え、バッテリーの「クローズドループ」構築に注力しています。VWの手法は、電池をシュレッダーで細かく粉砕し、得られた「ブラックマス(黒い粉)」から湿式精錬によってリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを回収するものです。同社は将来的に、バッテリー原材料の90%以上をリサイクル材で賄うことを目標としています。
メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツは、ドイツ南部クッペンハイムに独自のバッテリーリサイクル工場を開設しました。欧州の自動車メーカーとして初めて、リチウムイオン電池の物理的解体から湿式精錬までを一貫して行う施設を自社で保有しています。回収された材料は、年間5万個以上の新型バッテリーセル製造に再利用できる規模を誇り、回収率は96%を超えると公表されています。
ステランティス
ステランティスは、オラノ(Orano)社との合弁事業を通じて、欧州および北米でのリサイクル体制を強化しています。同社は「SUSTAINera」ブランドを立ち上げ、リサイクルだけでなく、バッテリーの再製造(リマニュファクチャリング)や修理を含めた包括的な循環ビジネスを推進しています。
ボルボ・カーズ
ボルボ・カーズも「2040年までの完全なサーキュラー・ビジネス化」を掲げており、回収したバッテリーを定置用蓄電池として二次利用するセカンドライフ活用と、最終的な原材料リサイクルを組み合わせた多層的なアプローチを採っています。
まとめ
欧州勢に共通するのは、単なる廃棄物処理としてのリサイクルではなく、希少金属の外部依存を減らす「資源安全保障」と、製造時の排出ガスを抑える「環境適合性」を両立させる戦略です。2027年から義務化される「デジタル電池パスポート」への対応も含め、欧州のバッテリーエコシステムは今、世界で最も高度な資源循環ステージへと移行しています。
出典:BMW Group Press Release (2025/12/15)
Up and running: BMW Group and Encory launch innovative direct recycling to recover battery raw materials
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