米S&Pグローバル、サステナビリティに関する10の主要トレンド(2026年版)を発表

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米国ニューヨークに本拠を置く格付会社、S&Pグローバルは14日、「サステナビリティに関する10の主要トレンド」の2026年版を発表しました。

米S&Pグローバルのアナリストらが予測する、2026年の戦略的意思決定に影響を与える10の主要トレンドは以下の通りです。

1. 政治的断片化と実利的なサステナビリティ戦略の策定

多くの投資プロジェクトが選挙サイクルを超える長期にわたる一方で、足元の政治情勢は極めて流動的です。企業は、規制や標準化が地域ごとに断片化する「マルチ・リージョナリズム」の環境下で、実利主義、リスク回避、収益性を重視した耐久性のある戦略を再定義します。

2. 気候変動の科学的現実と即時的なニーズの相克

政府は、エネルギーの安全保障、手頃な価格、安定供給といった直近の課題と、気候変動や自然損失という科学的現実との間で激しい板挟みに直面します。異常気象による人命、財産、インフラへの被害が深刻化する中で、国家レベルの優先順位付けが問われます。

3. パリ協定1.5度目標の限界と「適応・レジリエンス」への投資シフト

世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標の達成が困難であるとの認識が広まります。これに伴い、従来の「緩和(排出削減)」だけでなく、温暖化する世界の現実に備えるための「適応」や「レジリエンス(回復力)」への投資に、より現実的で具体的な議論が移行します。

4. 公的資金の不足と民間セクターの役割拡大

持続可能な開発のための公的資金が不足する中、民間セクターがそのギャップを埋める機会が増加します。ただし、これらの資金は国防、安全保障、そしてAIインフラといった他の国家的な優先事項と投資枠を厳しく争うことになります。

5. AIインフラの拡大とリソースへの圧力

AIは課題解決の機会を提供しますが、その基盤となるデータセンターの急速な拡大は、電力供給、温室効果ガス排出、水資源の利用に対して深刻な圧力をかけます。AIがもたらす便益と、リソース消費という物理的な制約をいかに管理するかが焦点となります。

6. 人口高齢化とAIによる労働市場への影響

世界的な人口高齢化に伴う労働力不足に対し、AIによる生産性向上がそれを十分に相殺できるかは不透明です。ステークホルダーにとって、AIは労働市場の圧力を緩和する機会であると同時に、社会的なリスクを孕むテーマとして扱われます。

7. 生物多様性とネイチャーポジティブへの具体的行動

自然損失が経済的リスクであるとの認識が定着し、企業は「ネイチャーポジティブ」に向けた具体的な行動を求められます。サプライチェーン全体を通じた生物多様性への影響評価と、その開示が戦略的な重要性を増します。

8. サステナビリティ開示の標準化とデータの透明性

国際的な開示基準の適用が本格化し、企業はより高度で透明性の高いデータ提供を求められます。特にAIを活用したデータ収集・分析が進む一方で、その正確性と信頼性に対する検証の目が厳しくなります。

9. エネルギー移行と重要鉱物の確保を巡る地政学

クリーンエネルギー技術に不可欠な重要鉱物のサプライチェーン確保が、国家安全保障の最優先課題となります。特定の地域への依存を減らすための多角化と、採掘・精錬プロセスにおける環境・人権配慮の両立が求められます。

10. 財務的影響の可視化とジャスト・トランジション

気候物理的リスクが企業の財務諸表に与える影響の可視化が進みます。同時に、脱炭素社会への移行が一部の地域や労働者に不利益を与えない「公正な移行(ジャスト・トランジション)」の重要性が、社会的な合意形成の鍵となります。

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出典:S&P Global Sustainability Insights (2026年1月14日公開)

Sustainability trends for 2026: 10 key trends for the year ahead