EU、風力・太陽光発電量が、化石燃料発電量を初めて上回る。Emberが2025年報告書を発表

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Emberは22日、EU27か国を対象にした年次報告書「European Electricity Review 2026」を発表しました。それによりますと、2025年においてEU全体で初めて、風力発電と太陽光発電による発電量が、石炭やガスなどの化石燃料による発電量を上回りました。これはEUの電力システムが、構造的にクリーン電源中心へ移行し始めたことを示す歴史的な節目と位置付けられています。

風力・太陽光が電力の3割を占める

報告書によると、2025年のEUにおける電力供給のうち、風力と太陽光が占める割合は30%に達しました。これは5年前の約20%から10ポイント以上の上昇となります。発電量ベースでは、風力と太陽光の合計が841TWhとなり、すべての化石燃料電源の合計を初めて上回りました。27か国中14か国では、風力・太陽光が既に主要電源となっています。

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出典:年次報告書「European Electricity Review 2026」

太陽光発電の急成長が牽引

特に太陽光発電の拡大が顕著です。2025年のEUの太陽光発電量は369TWhと過去最高を更新し、前年比で約20%増加しました。これはフランスの原子力発電所数基分に相当する増加幅とされ、EU全域で設備導入が進んだ結果と分析されています。すべての加盟国で太陽光発電量が増加し、一部の国では電力の2割以上を太陽光が占める水準に達しました。

再生可能エネルギー全体では48%に

2025年のEUでは、水力やバイオマスを含む再生可能エネルギー全体で、電力供給の約48%を占めました。年初は風況や降水量に恵まれない異常気象が見られましたが、日照条件に恵まれたことで太陽光が補完的な役割を果たし、再エネ比率は前年とほぼ同水準を維持しました。再生可能エネルギーが安定的に基幹電源として機能し始めていることが示されています。

一方でガス火力発電量も増加

一方で、ガス火力発電は水力発電量の減少を補う形で一時的に増加し、電力価格の上昇要因となりました。EU全体の化石ガス輸入額は前年より増加しており、依然としてエネルギー安全保障上の課題が残っています。石炭火力は発電比率が9%台まで低下し、多くの国で事実上フェーズアウト段階に入っていますが、ガス依存の低減が次の大きな焦点とされています。

蓄電池とフレキシビリティが次の鍵に

Emberは、今後の課題として、蓄電池の導入拡大や送電網の強化、需要側の柔軟性確保を挙げています。再生可能エネルギーが豊富な時間帯の電力を蓄電し、需要が高い時間帯に活用することで、ガス火力への依存を減らし、電力価格の安定化につなげることが可能になるとしています。EUの電力転換は量の拡大から、システム全体の高度化という新たな段階に入ったと分析されています。