中部電力、米子バイオマス発電事業から撤退。今後のバイオマス発電の行く末は?

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中部電力(敬称略)は20日、鳥取県米子市で稼働を予定していた「米子バイオマス発電事業」からの撤退を決定したと発表しました。

共同出資者である三菱HCキャピタル株式会社、東急不動産株式会社、および中部電力の3社は、運営会社である「米子バイオマス発電合同会社」の全持分を、同じく出資者である三菱商事エネルギーソリューションズ株式会社へ譲渡することで合意しました。

本発電所は、木質ペレットおよびパーム椰子殻(PKS)を燃料とした、発電出力約54,500kWの木質バイオマス発電所です

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しかし、2023年中に発生した火災事故の影響により、設備の復旧および再発防止策の策定に多額の追加費用が必要となりました。中部電力は、燃料価格の動向や修繕コスト、将来的な収益性を精緻にシミュレーションした結果、当初想定していた投資回収スキームの維持が困難であると判断しました。

今回の撤退に伴い、中部電力は2026年3月期(2025年度)連結決算において、約100億円の特別損失を計上する見込みです。

譲渡手続きの完了は2026年3月末を予定しており、以降、同事業の再建および運営は三菱商事グループが主導することとなります。中部電力は今後、経営資源を他の成長分野や既存インフラの高度化へ再配分し、ポートフォリオの最適化を図る方針です。

当社補記

本記事とは直接関係ありませんが、輸入木質ペレットを用いた大規模バイオマス発電は、日本の再生可能エネルギー主力化に向けた重要な調整電源として引き続き期待されている一方で、経済産業省の委員会等では「持続可能性の高度化」と「経済的自立」に向けた制度改正の議論もなされています。

特に、2026年度以降の新規認定において、輸入木質バイオマスをFIT制度の対象から外す方針が経済産業省で示されました。これは、太陽光や風力と比較して発電コストが高止まりしている点や、長距離輸送に伴うライフサイクルGHG(温室効果ガス)排出の抑制、および賦課金による海外への資金流出を最小限に抑える狙いがあります。

一方で、既存事業に対しては、燃料調達の透明性を確保するための第三者認証の義務化や、GHG排出削減基準の厳格化が進められています。

輸入依存から脱却し、国内の未利用木材を効率的に活用する地産地消型モデルや、熱電併給(CHP)によるエネルギー効率の向上へと、事業の軸足を移していくことなどが議論されています。