ドイツ政府、30億ユーロ規模のEV購入補助金を再導入。日本の新制度との違いは?

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ドイツ政府は2026年1月19日、電気自動車(EV)の普及再加速と停滞する国内自動車産業の支援を目的とし、総額30億ユーロ(約5,520億円)規模の新たな購入補助金制度を発表しました。

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2023年末の予算措置に伴う突発的な補助金打ち切り後、急速に冷え込んだEV需要の回復を目指す包括的な経済対策となります。

所得制限付きの支給スキーム

今回の新制度は、2029年までに約80万台の普及支援を想定しており、世帯所得や家族構成、車種に応じた階層的な補助額設定が特徴です。

支給額は1,500ユーロから最大6,000ユーロで、主に低所得および中所得世帯をターゲットとしています。具体的には、課税対象となる世帯年収が8万ユーロ以下の世帯を対象とし、子供の数に応じて所得制限枠を緩和する仕組みを採用しました。

また、純粋なバッテリー電気自動車(BEV)だけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)やレンジエクステンダー付きEV(EREV)も一定の条件下で対象に含まれます。

中国メーカー排除を見送る

本制度の特筆すべき点は、フランスや英国などの周辺国が採用している「環境スコア」や「原産地規則」による実質的な中国製EV排除策を講じていないことです。

シュナイダー環境相は記者会見において、統計的および実情として中国メーカーが市場を圧倒している事実は確認されていないと指摘し、ドイツおよび欧州ブランドの品質優位性への信頼を強調しました。

この決定により、BYDなどの価格競争力に優れた中国ブランドも補助金の恩恵を受けることが可能となり、欧州連合(EU)が検討している対中追加関税や最低価格制度とは異なる、市場競争を重視する独自の姿勢を鮮明にしています。

日本のEV補助金制度との比較

日本の経済産業省が2026年1月から適用を開始したクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)と比較すると、両国の政策意図の違いが浮き彫りとなります。

日本政府は2026年度よりBEVの補助上限額を従来の85〜90万円から最大130万円へと大幅に引き上げた一方、車両価格の約20%という係数を導入し、メーカーのサイバーセキュリティ対応や整備体制等の評価項目によって支給額が変動する仕組みを強化しています。

ドイツが「世帯所得」という社会学的属性を重視して需要層を拡大しようとしているのに対し、日本は「メーカーのインフラ貢献度や技術要件」を評価基準の主軸に据えるなど、サプライヤー側の技術・サービス水準を通じた市場形成を図るアプローチを取っています。