国際決済銀行(BIS)、AI投資の金融リスク分析に関する報告書を発表
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国際決済銀行(BIS)は7日、AIブームにおける資金調達構造の変化を分析した報告書「Financing the AI boom: from cash flows to debt」を発表しました 。
この報告書によれば、AI関連投資は名目額および対GDP比の両面で急増しており、現在の経済成長において無視できないシェアを占めているとしています 。

デットファイナンスの多用
報告書は、AIインフラ投資の本質的投資の変容、具体的には、ITセクターの主要企業が従来の営業キャッシュフローによる内部資金調達から、デット(債務)による外部資金調達へと舵を切っている状況を指摘しています 。
これら企業は歴史的に低レバレッジで運営されてきましたが、データセンター建設やサーバー、ネットワーク機器、冷却システム、グリッド接続、発電所といった物理的インフラへの莫大なキャピタル・エクスペンディチャ(CapEx)が、キャッシュフローの限界をテストしていると分析されています 。
当研究所は、こうしたAIインフラ特有の物理的リスクがファイナンスの選択に直接影響を与えていると見ています。
報告書が言及しているように、データセンター投資には建設リスク、電力供給の可用性、およびテナント濃度の偏りといった個別のリスクが存在します 。これらの要因により、伝統的な銀行融資や公募債市場の枠組みでは対応が困難なケースが生じており、その代替としてプライベート・クレジットが急速に台頭しています 。
プライベートクレジットの活用
報告書では、プライベート・クレジットファンドが提供する資金供給構造について、報告書は貸し手と借り手の直接交渉による柔軟な契約(コベナンツ)が、アセットヘビーなAIプロジェクトに適しているとしています 。
一方で、当研究所ではこれらのファンドが採用している「クローズドエンド型」の構造に注目しています。
報告書によれば、プライベート・クレジットファンドは投資家の資金を4年から8年程度のサイクルでロックアップ(固定)することで、流動性リスクや期間変容リスクを緩和しています 。
しかし、これは裏を返せば、市場環境が急変した際に投資家が容易に資金を引き揚げられないことを意味しており、AI投資の期待リターンが裏切られた場合には、システム全体の流動性低下を増幅させる懸念があると分析しています。
さらに、報告書はデット市場の価格設定と株式市場のバリュエーションとの間に顕著な乖離(シズム)が生じていると警鐘を鳴らしています 。プライベート・クレジットのローン・スプレッドが非AIセクターと同水準であることは、貸し手がAI投資のリスクを過小評価しているか、あるいは株式市場が将来のキャッシュフローを過大評価している可能性を示唆しています 。
まとめ
報告書が示唆するように、AIブームの持続性は、これらの莫大な投資が市場の高い収益期待を充たせるかどうかにかかっていると言えます。
もし、期待に見合う収益がデリバーできなかった場合、レバレッジの拡大や不透明なプライベート・クレジット市場を通じて、金融システム全体にシステミックな波及効果を及ぼす脆弱性が存在すると言ってよいでしょう。
ハイレバレッジやプライベートファンドが、AI投資をブーストする役割を持っていますが、行き過ぎた利用を防止するためのマクロ的な手立てが考慮すべきものと考えます。
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