風力発電、アセス対象拡大へ。環境省検討会初会合で議論。規制から、質の高い再エネへの誘導へ
風力発電、アセス対象拡大へ。環境省検討会初会合で議論。規制から、質の高い再エネへの誘導へ
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環境省と経済産業省は26日、「太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会」の初会合を開催し、風力発電事業の環境影響評価(アセスメント)の対象規模の見直しと実効性強化に向けた検討を開始しました。
現状と経緯
風力発電事業は、平成24年(2012年)10月に環境影響評価法の対象事業に追加されました。その後、令和3年(2021年)10月には、規模要件が以下の通り引き上げられました。
- 第1種事業(必須実施):1万kW以上から5万kW以上に引き上げ
- 第2種事業(個別に判定):0.75万kW以上1万kW未満から3.75万kW以上5万kW未満に引き上げ
課題:小規模事業でも環境影響のおそれ
事務局資料および中央環境審議会の答申によれば、風力発電には他の面的事業(土地区画整理など)とは異なる事業の特殊性があります。

①立地による影響の大きさ:
風力発電は、事業規模(出力)の大小よりも、風車を設置する場所の環境によって環境影響の程度が大きく左右されます。
②環境影響の要因:
風車(ブレード・タワー)自体が環境影響の要因となるため、現行の法対象規模未満(3.75万kW未満)であっても、立地によっては影響が著しくなるおそれがあります。
③厳しい大臣意見の発出:
過去の実績では、現行の第2種要件を下回る1万から3.75万kWの範囲でも、鳥類への影響や騒音、景観を理由に、事業計画の見直しを求める「厳しい環境大臣意見」が15件発出されています。
解決に向けた方向性(事務局案)
2025年3月の中央環境審議会答申を踏まえ、国が積極的に関与し、効果的・効率的な環境配慮を確保するための措置が検討されています。
①第2種事業の規模要件引き下げ:
法に基づく第2種事業の規模要件を引き下げ、3.75万kWを下回る事業もスクリーニングを通じて法の手続き対象とすることが想定されています。
②簡易な評価手法の導入:
既に電気事業法で実施されているような簡易な方法による環境影響評価の実施を課すことが検討されています。
③スクリーニング基準の最適化:
地域と共生できない再エネは抑制し、促進すべきものは促進するという観点から、スクリーニング基準の在り方が議論されています。
検討会における主な発言とまとめ
事務局(環境省・経済産業省)の説明
事務局は、風力発電が「高さ方向の空間利用が大きい」という特性を持つ線的な事業であることを強調しました。また、小規模事業であってもオジロワシの飛翔頻度が高い場所や繁殖地付近では重大な影響が懸念される事例を紹介しました。
委員からの主な指摘
①立地とエビデンスの重要性:
規模ではなく立地が重要だが、立地によるスクリーニングには事後モニタリングなどのエビデンス把握が前提となるべきとの意見がありました。
②他制度との連携:
温対法の促進区域制度など、他の土地利用調整の仕組みとの連携が規模要件の考え方に影響するとの指摘がありました。
③スクリーニングの迅速化:
対象が拡大した場合、判定基準を明確化して効率的に手続きを進める必要があるとの議論がなされました。
今後の進め方
座長は、風力発電については第2種事業の規模要件引き下げという方向性を踏まえ、スクリーニング基準をどうあるべきかが重要な課題であるとし、検討会は今後、関係団体へのヒアリングを重ね、次期通常国会中の検討結果取りまとめを目指すこととなりました。
環境省・経済産業省の資料によると、令和8年(2026年)1月時点で、風力発電の導入目標17.9GWの達成には、今後さらなる導入継続が必要とされています。
付言:規制も重要だが、ポジティブ格付け制度の導入も検討を
環境アセスメントは不適切な事業を制限する「規制」としての役割を持ちますが、当研究所では、これをさらに一歩進め、環境負荷が低く地域に貢献する事業者を積極的に評価する「ポジティブな格付け」へと繋げるべきだと考えています。
公的機関が再エネの質を客観的に保証することで、質の高い再エネの購入者に安心感を付与し、特にコーポレートPPA等において良質な電力が選ばれ、生き残るような仕組みを検討すべきです。
当社は、令和4年に行われた当時の小泉環境大臣によるヒアリングにおいて、「国が再エネの質を評価・認定すべきである」という提言をさせていただいております。
再エネをめぐる社会の目線が厳しくなることは、当時から予測されていました。今後も持続可能な再エネの導入を図るためには、規制の強化もさることながら、質の高い再エネへの誘導と国民のコンセンサスの醸成が求められていると言えるでしょう。

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