英国・欧州大陸をつなぐ送電網強化へ。北海洋上風力発電所をハブとして

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英国を含む北海沿岸の10カ国は24日、2050年までに北海を世界最大の「グリーン・パワー・ハブ」へと変貌させるための具体的な投資計画に合意しました。

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100GW規模の多国間連携

2024年9月の「ハンブルク宣言」を経て、今回の最新サミットでは、2040年までに共同プロジェクトを通じて100ギガワット(GW)規模の連携線を構築する目標が再確認されました。これは約1億4,300万世帯分の電力を賄える規模に相当します。

英国のミリバンド・エネルギー相は「化石燃料の価格乱高下から国民を守る唯一の手段」として、この多国間連携を強力に推進しています。

その特徴は、二国間連携ではなく、北海上の風力発電所をハブとして、複数の国が繋がる「ハイブリッド・インターコネクター」の具体化です。

英国とオランダを結ぶ「LionLink(ライオンリンク)」などは、2026年中に最終的な承認プロセスに入り、2032年の稼働を目指して調整が進んでいます。

英国主導の政策と国内での反対意見

英国政府は2025年に国営企業「Great British Energy(GBE)」を本格始動させ、83億ポンド(約1.6兆円)の予算を投じてこの北海プロジェクトを主導しています。その結果として、直近の競合入札では、洋上風力の発電コストがガス発電より40%も低く抑えられることが示された一方で、急速な建設に伴う送電網の整備費用が国民の電気代に転嫁される懸念や、ケーブルの陸揚げ地点(サフォーク州など)の景観破壊に対する地域住民の根強い反対運動も続いています。

今後の展望:1兆ユーロの投資呼び込み

業界団体「WindEurope」は、この多国間連携により2040年までに1兆ユーロ(約160兆円)もの民間投資が呼び込まれると予測しています。

ノルウェー国内での連携への反発

一方で、このような多国間連携に否定的な国もあります。潤沢な水力発電資源を有するノルウェー国内の、国際連携への反応は冷ややかです。

ルウェー政府は、スコットランドとを結ぶ新たなインターコネクター(NorthConnect)の建設許可を正式に却下しました。ノルウェーの消費者や製造業界は、英国やドイツといった高価格帯の市場と直接つながることで、安価だった国内の電力が「吸い上げられ」、自国の電気代が急騰することを激しく警戒しています。

国内世論の反発を受け、ノルウェー政府は「自国のダムの貯水量が低下した場合には、電力輸出を制限できる」という新ルールを導入。これが、ネットワーク全体での融通を前提とする英国や他国との摩擦を生んでいます。