電機・電力労組のベア要求出揃う。経団連も容認方向。東電労組は年収5%増を掲げる

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日本の主要労組である電機連合と電力総連が、相次いで春闘方針を正式に決定しました。3年連続となる大幅な賃上げを目指し、労働界と経営側の交渉が本格的にスタートします。

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賃上げ要求の背景:過去最高額の更新と「3%以上」へのこだわり

電機連合は27日、基本給を底上げするベースアップ(ベア)要求を、現行方式で過去最高となる「1万8,000円以上」に設定しました。昨年の1万3,000円から5,000円も上積みされたこの数字は、企業の「稼ぐ力」が堅調である一方、物価高で労働者の家計が圧迫されている現状を打破する狙いがあります。

一方、1月22日に方針を固めた電力総連は、「月例賃金3%以上の引き上げ」を掲げました。電力産業は工事やメンテナンスを担う協力企業が多いため、パーセント(率)で要求を示すことで、産業全体の底上げと、電力安定供給を担う人材の確保・定着を目指しています。

東京電力労働組合は年収5%引き上げ要求

電力総連の中でも最大規模の東京電力労働組合は、23日に執行部案を固め、全社員の年収水準を「5%引き上げ」するよう求める方針を明らかにしています。

東京電力は、福島第一原発の廃炉関連損失などで2026年3月期に巨額赤字に転落する見通しですが、組合側は以下の理由から強気の姿勢を見せています。

・物価上昇に伴う生活防衛の必要性

・柏崎刈羽原発の再稼働準備など、社員の多大な貢献に対する報い

・人材流出を防ぐための待遇改善

昨年の3.9%妥結を超える「5%」という数字は、厳しい経営環境下でも社員の処遇を優先すべきだという強いメッセージとなっています。

労働条件に関する決定事項

電機連合・電力総連は、賃金以外にも労働者の健康や権利を守るための多角的な方針が可決されました。

電機連合の主要決定事項

・年間一時金について「年間5ヶ月分」を基準とし、最低でも「4ヶ月分」を確保すること。

・終業から翌日の始業までに一定の休息を置く「勤務間インターバル制度」を導入し、休息時間の適正化を推進すること。

・休日や深夜の業務連絡を制限し、労働者のプライベートを保護する「つながらない権利」のルールを整備すること。

・2組合の新加盟を承認し、組織実態を602組合、約58万7,000名へと拡大して交渉力を強化すること。

電力総連の主要決定事項

・物価上昇を上回る賃上げを、電力会社のみならず関連産業の全組合員へ波及させること。

・長時間労働の抑制に向け、勤務間インターバル制度の導入を含む労働環境の整備を行うこと。

・サプライチェーン全体での賃上げを可能にするため、発注元との適正な価格転嫁の推進を支援すること。

・非正規雇用労働者の処遇改善に向けた「同一労働同一賃金」の徹底と、企業内最低賃金の引き上げに取り組むこと。

経団連の姿勢:3年連続の「5%前後」維持とベアの容認

経団連は、20日に公表した指針において、ベースアップを前提とした労使協議を会員企業に要請しました。十倉会長(筒井新会長への交代期を含む議論)は、2026年を「実質賃金をプラスに転じさせる重要な年」と位置づけ、連合が掲げる「5%以上」の賃上げ目標に対しても、3年連続で同水準の回答を目指す前向きな姿勢を示しています。

特に、人手不足が深刻な中で「賃上げによる人材確保」は企業の持続可能性に直結するという認識が、経営側の間でも定着しつつあります。

今後の見通し

2月中旬には各組合が経営側へ要求書を正式に提出し、3月11日の集中回答日に向けて激しい交渉が展開されます。2026年春闘が、日本経済の「好循環」を決定づけるものになるか、その行方が注目されています。