東京電力の第5次総特、メディアはどのように報じているか?

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東京電力ホールディングスと原子力損害賠償・廃炉等支援機構は26日、新たな再建計画である第5次総合特別事業計画(五次総特)を公表しました 。

これに対して、メディアは以下の論調で報じています。

経済・ビジネス誌では、現実的・原子力推進の論調が見られます。再稼働による収支改善とアライアンスによる資本効率の向上を評価しています。

リベラル系一般紙は、批判的論調で、再稼働ありきの計画に疑問を呈し、国民負担の透明性と廃炉の不確実性を強調しています。

保守系一般紙では、安保・安定重視の観点から、 安定供給のための原発活用を支持しつつ、経営責任の明確化を求めるとしています

電力専門メディアは、技術・実務重視で、送電網の増強やデータセンター対応など、電力システム全体の持続性に注目する記事が見られます。

テーマ別には以下の通りです。

1. 原発再稼働の見通し:「年1000億円」の損益改善の是非

多くのメディアが報じたのが、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を前提とした収支計画の是非です。

経済紙(日経新聞など):再稼働を「経営再建の生命線」と位置づけています。火力燃料費の削減により1基につき年間約1,000億円の改善効果があると報じ、再建資金捻出の不可欠さを強調しています。

一般紙(朝日・毎日など):地元の同意が依然として不透明な中、再稼働を前提とした黒字化シナリオ(2025年度に2,560億円の純利益予想)を「楽観的すぎる」「不確定要素が大きすぎる」と厳しく批判しています。

再稼働が遅れれば再建の根底が崩れる。

他社との連携(アライアンス)を進めるにしても、再稼働の目途が立たなければ魅力的な投資先にはなり得ない。

2. 「事実上の解体」か「進化」か:送電・再エネ部門の外部資本導入

今回の第5次計画で初めて明確に打ち出されたのが、他社との戦略的アライアンス(提携)です。

これに対して、「東電がもはや単独では生き残れないことを示す「事実上の解体」」と見るか、あるいは「電力会社からエネルギーサービス企業への転換」と見るかで分かれています。

送電部門等の株式売却も視野に入れた再編案は、東電の独占的な立場を崩し、市場原理を導入する劇薬となる可能性がある。

3. 収支の厳しさと「目減りする資産」

福島関連の総費用が膨らみ続ける中で、東電が掲げる「10年間で3.1兆円のコスト削減」の実現可能性を指摘するメディアが見られます。

例えば、3年間で2,000億円の資産売却(株式や不動産)を掲げていますが、「優良資産を売り払えば将来の稼ぐ力が衰える自転車操業だ」という専門家の指摘を紹介しています。

もはや削る肉がない状態ではないか。

資材高騰が続く中での3兆円超の削減計画は、現場の安全軽視に繋がらないか注視が必要だ。

4. 地域格差と「国民負担」への批判

再エネ賦課金や託送料金(電気代の一部)が、実質的に東電の再建や連系線整備に回されていることへの不満が地域紙で報じられています。例えば、北海道や東北の電力を東京へ送るインフラ整備が進む一方で、その便益がどこにあるのか、負担の公平性が問うとする論調です。

再エネ推進の旗印の下で、検証なき巨額投資が強行されることへの警戒が必要だ。

負担と便益のミスマッチを解消すべきだ。

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