【速報】容量市場2029年度向けメインオークション結果分析 

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電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、20日、2025年度に実施した容量市場メインオークション(対象実需給年度:2029年度)の約定結果を公表しました。

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概括

約定総容量は1億6,607万9,863kW、経過措置控除後の約定総額は2兆2,093億5,954億円となりました。前年の2028年度向けオークションでは約定総額が約1兆8,500億円規模であったことから、金額ベースでは4,000億円程度の増加となり、容量確保コストの上昇傾向が明確になっています。

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エリアプライスは4つの価格帯に分かれ、北海道が14,972円/kW、東北・東京が15,111円/kW、九州が15,112円/kWとなりました。一方、中部・北陸・関西・中国・四国は12,388円/kWにとどまり、地域間の価格差が引き続き顕在化しています。

エリア別需給構造と市場分断

今回のオークションでは、全国の需要曲線と供給曲線の交点における供給信頼度が0.013kWh/kW・年となり、目標基準値である0.009kWh/kW・年を上回りました。この結果を踏まえた約定処理では、市場分断が発生し、中部・北陸・関西・中国・四国が充足ブロック、北海道、東北・東京、九州が不足ブロックに分類されました。

不足ブロックでは、全国の供給信頼度を満たすため追加処理が行われ、追加調達量は合計688万kWとなりました。内訳は北海道が91万kW、東京が432万kW、九州が165万kWです。前年の2028年度向けでも一部エリアで追加処理は行われていましたが、今回のように東京と九州が同時に大規模な追加調達の対象となる構造は、需給逼迫がより広域化していることを示しています。

応札構造と電源別の特徴

全国の応札容量は1億7,231万kWで、その92.8%を安定電源が占めました。LNG火力を中心とする火力電源が引き続き容量市場の主軸となっており、原子力、水力、揚水も一定規模で応札されています。変動電源(単独およびアグリゲート)は合計で約3%にとどまり、容量価値評価の制約が反映された形です。

発動指令電源の応札容量は715万kWとなり、前年同様に全国H3需要の4%という応札上限に達しました。そのため、実効性達成率を用いた落札・非落札の選別が行われ、一部では同率電源間でランダムによる決定も実施されています。2028年度向けオークションと比較すると、同一の発動指令電源における応札容量は増減が混在していますが、全体としては増加傾向が続いています。

非落札電源と退出シグナル

落札されなかった電源の応札容量は623万kWで、その約6割が運転開始から40年以上経過した電源でした。発電方式別では、石油火力およびLNG火力が大半を占めています。前年と同様、老朽電源に対しては容量市場を通じた退出シグナルが一定程度機能している一方で、不足エリアでは代替電源の不足が価格上昇を招く構造も浮き彫りになっています。

容量拠出金と需要家負担の示唆

2029年度実需給における容量拠出金の試算では、小売電気事業者の負担額が東京で約7,700億円、関西で約3,010億円、中部で約2,567億円、九州で約2,216億円、東北で約1,847億円となりました。前年と比べ、総額ベースでの負担増が見込まれています。

総括

2029年度向け容量市場メインオークションは、供給力確保という制度目的を達成する一方で、需給逼迫エリアにおける高価格化と市場分断の固定化を改めて示す結果となりました。

前年との比較では、価格水準と約定総額の上昇が明確であり、LNG火力を中心とする供給コスト上昇、調整力不足、地域間の系統制約が複合的に影響していると考えられます。

容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2029年度)