非化石価値取引市場、上限・下限価格を議論。第110回 制度検討作業部会
非化石価値取引市場、上限・下限価格を議論。第110回 制度検討作業部会
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経済産業省は23日、第110回制度検討作業部会を開催し、2026年度から開始される第3フェーズに向けた非化石証書取引市場の運用ルールについて議論を行いました。

事務局説明
高度化法に基づく非化石電源の比率向上を目指す中で、中間目標値の設定方法や、市場における上限価格および下限価格の在り方が重要な論点になっていると説明しました。
特に、今後の非化石価値に対する需要の高まりを背景に、需給バランスの変動が価格に与える影響や、需要家への負担増をどう抑制するかが課題であると指摘しました。
背景として、現行の目標設定方法では外部調達可能量の変動により、事業者の義務達成難易度が事後的に変わってしまうリスクがある点、また、非FIT非化石証書の価格が下限価格に張り付いている現状と、今後の物価上昇への対応が必要である点が強調されました。
事務局提案 見直しの主な論点
実効性のある非化石価値取引の実現を目的として、以下の見直し案を提示しました。
①中間目標値の設定における需給バランスの固定
外部調達可能量にブレが生じた際、外部調達比率を固定するのではなく、需給バランスを固定して再計算を行うことで、事業者の予見可能性を高める方針が示されました。
②証書の上下限価格の見直し
物価状況の反映や、非化石電源の維持拡大を促す投資インセンティブの観点から、上下限価格の見直しが論点とされました。
③再エネ価値取引市場のあり方
現行の市場がPPA(電力販売契約)締結のインセンティブを阻害していないかなど、ボランタリー市場としての在り方が論点として提示されました。
委員発言1 価格見直しの方向性と物価反映の必要性
複数の委員から、需給バランスを固定する目標設定方法への変更について、事業者の予見性確保の観点から賛同する意見が相次ぎました。
下限価格の見直しについても、現在の価格が下限に張り付いている状況を考慮し、少なくとも物価上昇分を反映させるなどの修正は不可欠であるとの発言がありました。辻委員からは、非FIT証書の価格を引き上げる際は、再エネ価値取引市場の下限価格も合わせて調整し、市場間の価格差が拡大しないよう配慮すべきとの指摘がなされました。
委員発言2 GX推進戦略および炭素価格との整合性
GX推進戦略における炭素価格制度との整合性については、今後導入される炭素価格がトン当たり1700円から4300円といった水準で年率3パーセントの加算が想定されていることを踏まえ、高度化法市場の価格設定もこうした外部環境と連動させるべきではないかとの問題提起がなされました。
また、市場の公平性を担保するため、特定の取引規模以上の事業者に対する閾値の扱いを継続的に検討すべきとの意見も出されました。
委員・オブザーバー発言3 需要家負担への配慮と中長期的予見性
需要家側や小売事業者側からは、非化石証書価格の上昇が最終的に電気料金の負担増につながる点への懸念が強く示されました。
特に、大型水力や原子力など既存電源由来の証書価格を引き上げる場合、その収益がどのように電源の維持拡大に再投資されるのか、明確な説明が必要であるとの指摘がありました。
また、PPAなどの長期契約を検討する需要家にとって、非化石価値の中長期的な価格見通しが示されることが投資判断に資するとの要望も出されました。
事務局のまとめ 段階的見直しと他制度との連携
今回の議論を踏まえ、まずは目標設定方法における需給バランスの固定を採用し、事業者の予見性を確保する考えを示しました。
価格の見直しについては、物価変動やGX制度との整合性、需要家への影響を総合的に勘案し、2026年度からの第3フェーズ開始に向けて段階的に検討を深める方針となりました。
経過措置料金への価格転嫁の在り方など、関連する他会議体での議論とも連携し、制度全体の整合性を保ちながらきめ細かな設計を行うことが確認された形で議論が締めくくられました。
当研究所の分析
非化石証書市場の見直しは、単なる環境価値の売買ルールの変更にとどまらず、わが国のエネルギーミックス実現に向けた投資誘導策としての側面を強めています。
わが国では既にトラッキング付非化石証書が商用化されていて、現在GHGScope2改定で議論されている、再エネの発電と消費を地域・時間単位でマッチさせるアワリーマッチングを可能にするようなGC-EAC(時間帯別証書)の発行・取引に向けた条件が整備されつつあると言えます。
本委員会の資料にも、「非化石証書の利便性向上に向けて ~海外における議論も踏まえつつ、必要に応じて検討」と記載されています。
海外に目を転じれば、欧州、特に英国の公的機関がその導入に熱心で、既に欧州系のITベンダーや事業者、JVによるFSが実施されています。
現在の非化石証書発行主体や取引はそのままにしながら、GC-EACの発行・取引は第三者がボランティアリーに実施する(いわゆる上下分離方式)ことも可能です。
そこでは、海外との規格標準化は重要な論点で、例えばEnergyTagが公開している規格を採用するのも一案で、また検討に当たっては英国・EU・米国の先進事例を研究し、参考にすべきですが、一方で、RE100の時のように、発行・取引システムをそのまま省庁が輸入して、海外のサービサーに「丸投げ」したりすると、全国8000万地点の30分毎の発電量・消費量が国外に筒抜けになり、経済安保上望ましくないですし、また新たなサービス赤字を積み重ねることになりかねません。
日本では公的機関が発電量・消費量を管理し、非化石証書、Jクレジット、グリーン電力証書と国内ベンダーによるシステムが構築され、各企業・機関が厳正に管理をされていると思量します。
GHGScope2改定を見据えて、アワリーマッチングの導入を検討するにあたり、GC-EAC取引のFSなどを実施するにあたっては、こうした国内機関が主体的に参画されることを期待します。
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