Jパワーとみずほ銀行、アワリーマッチングPPAの実証成功。環境価値取引プラットフォームを構築へ
Jパワーとみずほ銀行、アワリーマッチングPPAの実証成功。環境価値取引プラットフォームを構築へ
電源開発株式会社(Jパワー)、みずほ銀行など5社は、2026年4月17日、企業が使用する電力を24時間365日カーボンフリーで賄う24/7CFEの実現に不可欠な、時間単位での需給マッチングの実証に成功したことを発表しました。
今回の発表内容
1.背景と意義
現在、企業の GHG 排出量算定・報告における世界標準である GHG プロトコルは、改定作業が進められており、改定案では、非化石電源を用いた排出量削減効果を主張する際、電力の発電と消費において、1 時間単位での一致を求める Hourly Matching の導入が提案されています。
この動向を受け、グローバルに展開する事業者やそのサプライチェーンを構成する企業では、「リアルタイムかつ信頼性の高い再エネ利用証明」や「脱炭素経営の高度化」が経営上の重要課題となっており、非化石電源の調達手段であるコーポレートPPAにおいても、改定を見据えたソリューションが求められています。
こうした最先端の潮流を先取りし、企業のサステナビリティ課題解決を支援するため、共同実証者は金融・エネルギー・テクノロジーの知見を結集し、多様な非化石電源を活用した Hourly Matching の実証を行いました。
本実証の成果を基に、将来の GHG プロトコル改定と Hourly Matching の国内導入を見据えた 24/7 CFE を実現する新たなコーポレート PPA(24 時間 365 日・時間単位での需給マッチングを行うコーポレート PPA、以下「24/7 対応型 C-PPA」)のソリューション開発をめざします。

2.実証の概要
本実証では、需要家企業の事業所から電力需給データを受領し、実際の事業運営を想定した形で Hourly Matching の有効性を検証しました。
具体的には、対象事業所の消費電力データを 1 時間単位で取得し、エムエル・パワー(みずほリース 100%子会社)およびJパワーが提供する太陽光・風力などの非化石電源から発電された電力供給情報と照合しました。その際、Jパワーおよび Scalar が開発する「環境価値プラットフォーム」を活用し、発電・消費データの改ざん検知や第三者検証可能な記録・証明を行いました。
これにより、「発電と消費の時間単位での一致」「複数電源種のマッチング」「環境価値の信頼性・トレーサビリティ確保」などを検証し、Hourly Matching の要件を充足する 24/7 対応型 C-PPA の提供が可能であることを確認しました。
3.24/7 対応型 C-PPA 提供に向けた各社の役割
今後、本実証で得られた知見と各社の専門性を生かし、企業の脱炭素経営やグローバル基準に対応した再エネ調達を支援するため、24/7 対応型 C-PPA などの新たなソリューション構築に共同で取り組みます。


4.今後の展開に向けて
〈みずほ〉は、脱炭素社会の実現に向けた取り組み(サステナビリティアクション)を強化しています。総合金融グループとしての専門知見を活かし、サステナブルファイナンス等による資金調達支援だけでなく、脱炭素化に向けた経営・事業戦略に関する幅広いコンサルティング等にも取り組んでいます。
GHG プロトコル改定動向や、グローバル企業による 24/7 CFE 推進を踏まえ、再生可能エネルギーや非化石電気について、本ソリューションをはじめとした供給への貢献に加え、企業の再エネ電力調達戦略検討のサポートなどにも取り組んでいきます。
Jパワーグループは、水力発電、風力発電(陸上・洋上)、地熱発電、太陽光発電など多様な非化石電源事業を展開しています。今後も非化石電源に関する専門性を活かして電源開発を推進するとともに、お客様のニーズに応えるサービスの創出を推進し、J-POWER "BLUE MISSION 2050"で掲げたカーボンニュートラルの実現に取り組んでいきます。
Scalar は、複数・異種のデータベースを仮想的に統合し、トランザクション処理と分析処理を両立する Universal HTAP エンジン「ScalarDB」と、データベースにおける改ざん検知・第三者検証を可能とする分散型台帳ソフトウェア「ScalarDL」を組み合わせることで、環境価値の「信頼性」と「流通効率」を高度に両立する基盤の構築を目指します。
本実証で得た知見を活かし、GHG プロトコル改定への対応が求められる日本企業が国際基準を先取りできるよう、データベースソフトウェアの技術力で環境価値証明の社会実装に貢献してまいります。この取り組みを礎に、グローバル展開も積極的に加速させていきます。
今後、日本起点でアワリーマッチングの世界的な普及の主導的な役割を担っていくことと期待されます。
なお、同社は、これに先立つ2025 年 1 月 6 日と2025年11月6にも、環境価値取引プラットフォームに関するプレス発表もしていますので併せてご紹介します。
再生可能エネルギーに時間的価値を付与する 「環境価値プラットフォーム」の共同開発を開始~分散型台帳技術を利用したトラッキングシステムを開発~2025 年 1 月6日
J パワー、インダストリー・ワン、NSW、Scalar の 4 社は、再生可能エネルギーの効率的利用と化石燃料の実質的な削減を目指し、「環境価値プラットフォーム」の共同開発を開始したことを本日お知らせいたします。本取り組みは、現在の再生可能エネルギーが持つ課題を解決し、時間的価値を付加させることを目的としています。
現状の課題と開発の背景
再生可能エネルギーから発生する電力は気象や天候に左右されることが大きく 1 日中安定的に発生するものではないため、現行の商慣習で行われているような時間帯証明のない非化石証書を活用した取引のみでは厳密な意味で同時性のある再生可能エネルギーの電力を調達していると証明することは困難です。
例えば、太陽光発電による電力供給のみでは夜間における CO2 排出量の多い火力電源の比率が高いという問題があり、夜間における再生可能エネルギー活用促進のため、時間帯別の電力需給実態に即した環境価値活用の必要性が増しています。
取り組みの事例:
- 24/7 Carbon Free Energy (CFE): 時間ごとに 100%の非化石電源利用を保証する取り組み。
- 昼間の太陽光発電の夜間シフト:蓄電池等を活用し、昼間の電力を夜間にシフトすることで再生可能エネルギー電力の付加価値を高める試み。
再生可能エネルギー電源の時間ごとの供給量の違い(イメージ):

このような背景から、 電力安定供給を担う総合エネルギー企業である「J パワー」、三菱商事におけるデジタルソリューション事業の中核会社である「インダストリー・ワン」、 IT ソリューションプロバイダの「NSW」、データベースミドルウエアを開発するスタートアップ「Scalar」の 4 社は、「Scalar」が提供するデータベースにおける改ざん検知ミドルウエア「ScalarDL」を利用した PoC (Proof of Concept:概念実証) を実施しました。発電データの保全ならびに改ざん検知が可能であることを確認し、大量のトランザクション処理に対応した「環境価値プラットフォーム」の基盤構築の手法を確立しました。
今後増大する環境価値データの流通において、データの完全性と真正性を担保しながら、第三者に証明可能な信頼性のあるプラットフォームを提供することを目指しています。

環境価値プラットフォームの概要
このプラットフォームは、非化石電源が発電した時間を正確に記録し、需要データと紐付けることで、時間帯ごとの環境価値を顕在化させる仕組みを提供します。
改ざん検知機能:
ScalarDL を活用した分散台帳技術により、発電データや環境価値データが改ざんされていないことを保証します。これにより、プラットフォーム内のデータがスマートメーターなどから取得されたデータから改ざんされていないことを検証し、その正確性と信頼性を保証します。
非化石価値のプールとマッチング:
発電量と使用電力量を直接 1 対 1 で紐付けるのではなく、非化石電源から環境価値を分離しプール化。需要家ごとに非化石比率を充当する設計を採用します。この方法は CO2 排出係数の計算にも対応することが可能です。これにより、大量のデータ処理を迅速に行いつつ、環境価値の取引を合理的に行うことを可能にします。
時間情報等を活用した非化石比率の可視化:
時間帯ごとに異なる電源構成を反映し非化石比率を正確に計算します。これにより、実際に CO2 が大量に排出される時間帯における電力需給を可視化し、実質的な CO2 排出量の削減に寄与します。また、将来的には産地情報を付与することにより地産地消電源の導入促進にも貢献します。
PoC における各社の役割
J パワー:PoC の立案および推進。再生可能エネルギー供給の最適化と CO2 排出量の削減に向けたビジネスプランニング。多様な電源ポートフォリオ(再生可能エネルギーおよび揚水発電等)の発電データの提供
インダストリー・ワン:PoC プロジェクト伴走支援(PoC 業務要件整理・システム要件化サポート)。市場ニーズに応じた事業化検討支援(ビジネス戦略・ビジネスモデル設計・ロードマップ策定)。需要家の電力使用データを効率的に管理・可視化する UIUX デザイン(UI プロトタイプ開発含む)
NSW: 発電データの改ざん検知システムの開発および構築。スマートメーターからのデータ収集と損失率を考慮したデータ処理システムの構築。需要家の電力使用データを効率的に管理・可視化するシステム構築
Scalar:複数のデータベースを仮想的に統合する汎用的なトランザクションマネージャ/HTAP エンジン「ScalarDB」と改ざん検知ミドルウエア「ScalarDL」の提供および技術支援
期待される効果と今後の展望
このプラットフォームにより、以下の効果が期待されます。
非化石価値の最大化需要家や小売事業者の非化石比率の向上を容易に実現可能。将来的に産地証明を付与することで地産地消電源の導入を促進。
化石燃料利用の抑制:非化石電源稼働インセンティブを創出し、化石燃料利用の抑制を実現。制度への対応:24/7 CFE や GX リーグ、カーボンクレジット市場などの動向に柔軟に対応。
「環境価値プラットフォーム」の導入を通じ、蓄電池を含めた多様な電源ポートフォリオを組み合わせて、CO2 排出量の多い時間帯の再生可能エネルギー供給量を増加させ、再生可能エネルギーや蓄電池の稼働パターンの最適化により企業の効率的な GX を推進します。
また、将来的には電力以外の環境価値(例:カーボンクレジット)の流通にも拡張可能な設計とし、「GX 銀行(仮)」としての機能を実現することを目指します。
Jパワーグループは、水力発電、風力発電(陸上・洋上)、地熱発電、太陽光発電など多様な再生可能エネルギー電源を活用し、J-POWER "BLUE MISSION 2050"で掲げたカーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて取り組んでいきます。
J-POWER Joins 24/7 Carbon-Free Energy Compact
November 6, 2025
(一部抜粋:当協議会で翻訳)
このプラットフォームの主な特徴は以下の通りです。
まず、「多様な電源ポートフォリオの活用」です。J-POWERが保有する、水力発電、風力発電(陸上・洋上)、地熱発電、太陽光発電など、多様な非化石電源ポートフォリオを活用することで、十分な環境価値を提供します。
次に、「透明性および信頼性の確保」です。Scalarの分散台帳技術を活用し、発電データおよび需要マッチングデータを、第三者による検証が可能な形式で記録します。
さらに、「国際標準との互換性」です。24/7 CFE、GXリーグ、カーボンクレジット市場など、国際的な標準や制度に対応可能なフレームワークを構築します。
現在、関心を持つ企業との実証試験に向けたインフラ整備は完了しています。その取り組みの一環として、J-POWERは、自社本社ビルの電力需要と、J-POWERが保有する非化石電源とのマッチング実証を開始します。
この実証では、24/7 CFE実現を目指し、電力使用と非化石電源との間でのHourly Matching(時間単位一致)を検証するとともに、将来的な商用化に向けて解決すべき課題を明らかにしていきます。
J-POWERグループは、水力発電、風力発電(陸上・洋上)、地熱発電、太陽光発電など、多様な非化石電源事業を展開しています。
今後もJ-POWERは、非化石電源開発で培った知見を活用しながら電源開発を推進するとともに、顧客ニーズに対応したサービスを創出し、「J-POWER BLUE MISSION 2050」に掲げるカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めていきます。
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