太陽光発電協会と三菱総合研究所、需要家主導型太陽光発電とオフサイトPPAの現状に関する調査報告書を発表
太陽光発電協会と三菱総合研究所、需要家主導型太陽光発電とオフサイトPPAの現状に関する調査報告書を発表
一般社団法人太陽光発電協会と株式会社三菱総合研究所は、2026年3月、令和6年度「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金(単年度事業)」の採択案件を対象とした「需要家主導による太陽光発電導入促進に関する調査報告書」を発表しました。
本報告書は、補助事業の採択案件について、太陽光発電事業のコスト(CAPEX・LCOE)や、オフサイトPPA(電力購入契約)の収益性、契約形態、そして需要家の動向に関する分析結果を整理したものです。
分析の対象となった発電所の電圧階級は、過去の補助事業に比べて低圧から高圧へと案件が集中しており、令和6年度分は高圧・地上設置型が大勢を占める結果となりました。本調査では、データの得られた地上設置・高圧の7事業者(23発電所)を中心に詳細なコスト分析やヒアリングが行われています。
太陽光発電事業におけるCAPEXとLCOEの動向
第1章の太陽光発電事業のコストに関する分析では、令和6年度の高圧・地上設置型における平均CAPEX(資本的支出)は、14.8万円/kWdc(19.28万円/kWac)となり、減少傾向にあった昨年度(14.5万円/kWdc)から増加に転じたことが報告されています。平均積載率は約132%と、過年度と同程度で推移しています。
CAPEXの増減理由を見ると、太陽電池モジュールの市場価格下落や大量調達によるスケールメリットによって設備費は減少しています。一方で、地権者との交渉に伴う土地費の上昇や、景観・塩害対策など地上設置特有の付帯工事費の発生、事業期間の関係で価格交渉が不足したことによる電気工事費の上昇などが影響し、CAPEX全体としては高い水準となりました。
また、事業期間を20年間と固定して算出したLCOE(均等化発電原価)は13.1円/kWhとなり、昨年度の11.9円/kWhから1.1円/kWh増加しました。これは、土地費や工事費等の初期費用の増加に加えて、機器修理・交換周期の見直しに伴う修繕費用化や、設備費増に伴う固定資産税の上昇など、維持管理費(OPEX)が2.5円/kWhから3.5円/kWhへと上昇したことが主な要因として挙げられています。

オフサイトPPAの収益性と契約形態の実態
第2章ではオフサイトPPAの現状が分析されています。収益性については、令和6年度の高圧需要家への平均小売単価は23.7円/kWhと試算されました。発電事業者のグロスマージンは4.2円/kWhとなり、LCOEの増加分を売電単価に転嫁できている状況が伺えます。
しかし、小売事業者のグロスマージンは2.6円/kWhにとどまり、過年度よりも縮小しています。需要家への価格転嫁が十分にできておらず、小売事業者の収益性が悪化している可能性が指摘されています。なお、特高需要家向けでは託送費や送電ロスの減少等により、小売事業者のグロスマージンがより高い水準(4.4円/kWh)となっています。
契約形態の分析では、発電計画の立案や発電インバランスリスクの負担は概ね小売事業者が担っていることが確認されました。
また、2024年10月から導入された「分割供給スキーム」の採用は、既存契約のボリュームディスカウント維持とオフサイトPPA追加導入を志向した1社のみにとどまりました。
需要追随契約を提供する小売事業者が多いことに加え、3社間での管理オペレーションが非常に複雑化するなど、実務負担の大きさや費用対効果の低さから普及が進んでいない現状が明らかになりました。
需要家の再エネ調達に関する動向と今後の課題
需要家の分析においては、敷地内の設置場所の制約やカーボンニュートラル目標の達成を理由に、オフサイトPPAを選択するケースが多いことが示されています。参画経緯としては、昨年度と比較して需要家が起点となるケースが増加しています。
再エネ調達の許容価格について、現状の電気料金に対して多少の増加(2円/kWh増加まで)を許容する姿勢はこれまでと同程度ですが、令和6年度は4円/kWh以上の増加を許容する需要家も存在しています。これは、昨今の電気料金のボラティリティに対する将来的な価格変動リスクの回避を重視する需要家が増えていることが一因と考えられています。
一方で、オフサイトPPAの普及に向けた課題として、価格が一般的な電気料金や非化石証書価格と比較して割高になる場合があることが多くの事業者から挙げられました。
さらに、制度や国際的なルール(GHGプロトコルなど)の動向が見通せないことで導入コストの評価が難しい点や、関係者間でのPPAスキーム自体の長所・短所、相場観への理解が不足している点も指摘されており、需要家側のさらなる理解促進が求められています。

