太陽光発電協会と三菱総合研究所、FIP再エネ併設蓄電池の実態調査報告書を発表
太陽光発電協会と三菱総合研究所、FIP再エネ併設蓄電池の実態調査報告書を発表
一般社団法人太陽光発電協会と株式会社三菱総合研究所は、2026年3月、令和6年度予算「再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業(単年度事業)」に関する分析をまとめた「FIP再エネ併設蓄電池の実態調査報告書」を発表しました。
本報告書は、FIP制度下における再エネ併設蓄電池の導入実態やコスト、課題などを整理し、今後の普及拡大に向けた提言をまとめたものです。補助対象事業者向けのアンケートやヒアリングを通じて、事業者が直面するリアルな課題が浮き彫りとなりました。
再エネ併設蓄電池事業の現状と基礎情報
第1章では、再エネ併設蓄電池事業の現状が報告されています。令和6年度の補助事業(単年度事業)において、詳細データが得られた3件を対象に調査が行われました。これらの案件はいずれも、FIT認定を受けた既設の太陽光発電所をFIPへ移行する際に設置されたものです。
蓄電池の平均規模は、蓄電池出力2.9MW、蓄電池容量5.7MWhとなっており、令和4年度の補正事業(平均出力2.1MW、容量4.2MWh)と比較して大容量化が進んでいることが分かります。電池種類はすべてリチウムイオン電池であり、ACリンク方式で接続されています。
また、ビジネスモデルとしては3件すべてが卸電力市場への売電により収益を獲得しており、小売事業者やアグリゲーターを介して蓄電池の制御を実施していることが確認されました。
FIP再エネ併設蓄電池事業のコスト分析
第2章では、事業のコスト分析が示されています。蓄電池の導入にかかるCAPEX(設備投資額)は、平均で8.5万円/kWh(20.5万円/kW)でした。
令和4年度補正予算時の平均価格14.6万円/kWhからは6.1万円/kWhの大幅な減少が見られます。

このコスト低減の背景には、炭酸リチウムなどの資源価格の下落や、システム規模の大容量化があると推察されています。設備コストの内訳を見ると、蓄電池・インバータが全体の65%以上(5.1万円/kWh)を占めており、次いで工事費が1.1万円/kWhとなっています。
しかしながら、2024年度の補助金事業における系統用蓄電システムの平均価格(6.8万円/kWh)と比較すると、再エネ併設蓄電池の導入コストは依然として割高な水準にあることが指摘されています。
普及拡大に向けた事業者の課題認識
第3章では、事業者が直面している課題が整理されています。ヒアリングの結果、大きく分けて4つの領域で課題が存在することが明らかになりました。
1つ目は「FIP再エネ併設蓄電池の実態に即した制度が未整備」である点です。
系統用蓄電池の接続申込急増による手続きの長期化や、FIP移行認定と蓄電池設置の変更認定にかかる期間の長さが指摘されています。
さらに、FIPプレミアムの算定において、0.01円コマのみが考慮され、出力抑制コマが十分に反映されていないため、インセンティブが機能しにくい状況にあります。
追加の土地取得時に求められる住民説明会のガイドラインも太陽光発電向けであり、蓄電池設置の実態と乖離しているとの声が挙がっています。
2つ目は「既存太陽光設備の制約が大きい」点です。既設発電所の敷地内では設置スペースや機器搬入ルートの確保が困難です。また、FITからFIPへの移行に伴い市場価格の変動リスクが増加するため、金融機関からの融資(ファイナンス)組成が難しいという課題もあります。
コストと収益機会における課題
3つ目の課題は「蓄電池設備の導入コストが高い」ことです。コストは低下傾向にあるものの依然として高水準であり、補助金を活用することでようやく事業採算性を確保している状況です。
さらに、FIT認定時点とFIP移行時点の系統状況の変化により、リレー装置の入れ替えや電圧調整機器の新設など、追加的な系統費用が発生するリスクも存在します。
4つ目の課題は「収益機会・収益モデルが限定的」であることです。実証的な側面が強く、容量市場や需給調整市場などを組み合わせたマルチユースへの活用が十分に進んでいません。
また、九州エリアなどで0.01円コマの発生頻度が減少し、出力制御コマとの不一致が拡大しているため、市場価格の予見性が低く、収入見通しが立てにくい状況に陥っています。
普及拡大に向けた3つの提言
第4章では、これらの課題を解決するための提言がまとめられています。
第一の提言は「早期の運転開始に向けた導入手続きの合理化」です。FITの残存期間を最大限活かすため、系統充電を伴わない場合の系統連系手続きの簡素化や、蓄電池併設を考慮した住民説明会ガイドラインの整備など、実態を踏まえた制度の合理化を求めています。
第二の提言は「マルチユース運用の推進とFIPプレミアム算定方法の見直し」です。収益性を高めるために卸電力市場や需給調整市場などを組み合わせた複数市場での運用を推進するとともに、収益機会の毀損を防ぐため、FIPのプレミアム算定方法に出力制御コマを十分に反映させる見直しを検討すべきとしています。
第三の提言は「再エネ余剰電力の有効活用を目指した遠隔設置の蓄電池の活用」です。立地制約により蓄電池を併設できない既存発電所が多いため、遠隔地に設置された系統用蓄電池を当該電源の出力制御回避に活用できるスキームを構築し、将来的な再エネのさらなる有効活用を図ることが重要であると結んでいます。

