GoogleのScope2改定へのロビー活動の歴史を振り返る
GoogleのScope2改定へのロビー活動の歴史を振り返る
Googleは、3年前に発行された2023年環境レポートにおいて、24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)実現に向けた政策提言やロビー活動の内容を整理し、各国のエネルギー政策や市場設計に積極的に関与してきたことを発表しています。
同レポートでは、電力の脱炭素化を加速するために「時間的相関(temporal correlation)」「地理的相関(geographical correlation)」「追加性(additionality)」といった概念を重視する姿勢が示されており、これらは現在進行中のGHGプロトコルScope2改定における議論と強く重なっています。

企業の電力使用と再エネ供給を時間単位で一致させるアワリーマッチングの考え方は、こうしたGoogleの積極的な政策関与の積み重ねの中で国際的な議論に組み込まれてきたと位置付けられます。
政策関与が形作るアワリーマッチング
Googleは米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)への意見提出や、クリーン水素基準における時間一致要件の提言などを通じて、電力の時間的整合性を重視する枠組みを各政策に組み込むよう働きかけてきました。
また、国際会議や産業連携を通じて、再エネの市場設計や証書制度の高度化を推進してきました。
GAFA間で分かれるスタンス
一方で、このアワリーマッチングを巡る考え方については、同じテクノロジー企業の間でも見解が一致しているわけではありません。MetaやAmazonなどは、時間一致要件を全面的に義務化することに対して慎重な立場を示しており、全ての企業に同一の要件を適用することの実務的負担や市場の未成熟性を指摘しています。
このように、同じ再エネ100%を掲げる企業であっても、その達成手段や評価基準については異なる戦略が存在しています。Googleは時間一致を重視することで実効性を高めようとしている一方、他社は柔軟性や現実的な導入可能性を重視する姿勢を取っている構図です。
国際ルール形成の行方
現在、GHGプロトコルの技術作業部会(TWG)においては、こうした異なる立場が交錯しながら議論が進められています。時間一致をどの程度求めるのか、追加性や地理的整合性をどのように扱うのかといった論点は、企業の電力調達の在り方だけでなく、電力市場や投資の方向性にも大きな影響を与える可能性があります。
今後の議論の行方次第では、企業の脱炭素戦略そのものが大きく変わる可能性もあり、GAFAを中心としたグローバル企業間のスタンスの違いがどのように収束していくのかが注目されます。
