Google、2024年のアワリーマッチング率は世界で66%。一方、日本17%と低調。「生再エネ」確保が難しい日本の課題
Google、2024年のアワリーマッチング率は世界で66%。一方、日本17%と低調。「生再エネ」確保が難しい日本の課題
Googleは、2025年環境レポートにおいて、データセンターおよびオフィスの電力を時間単位でクリーン電力と一致させる「24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)」の進捗を公表しました。2024年時点でのグローバル平均は66%に到達し、20の電力グリッドのうち9地域で80%以上の時間一致を達成しています。発表では、この取り組みが単なる調達手法ではなく、電力システム全体の脱炭素化に寄与するものとしています。

地域別に見える進展と停滞
地域別では、中南米が約92%、欧州が80%台、北米が約70%と高水準を維持する一方、アジア太平洋地域は平均12%にとどまり、大きな格差が存在します。日本や台湾、シンガポールなどでは10%台にとどまり、時間単位での再エネ確保が極めて難しい状況です。
さらに詳細に見ると、日本(TEPCOエリア)は約17%、台湾も約17%、シンガポールは約4%と極めて低水準で推移しています。一方でインドやインドネシアなども同様に低水準帯に位置し、アジア全体として構造的な制約が強い地域であることが確認できます。これに対し、欧州ではフィンランドが約98%、デンマークが90%台、オランダやベルギーも80%台と高水準を達成しており、同じ先進国でも制度・資源・市場の差が結果に直結していることが分かります。
この差は、再エネ資源の制約や土地利用、電力市場の制度設計、系統接続の遅れなど複合的な要因によるものです。アワリーマッチングは年間平均では見えなかった課題を顕在化させるため、地域ごとの構造的な制約を浮き彫りにしています。
Googleのアワリーマッチングの定義と許容手段
Googleにおけるアワリーマッチング(24/7 CFE)は、特定の調達手段に限定されるものではなく、需要と同一グリッド内で時間単位に電力消費をカーボンフリー電源で満たすことを重視する概念です。そのため、コーポレートPPAを中核としつつも、そこに紐づく時間単位の環境価値(T-EAC)を組み合わせる形での達成が基本となっています。一方で、従来型の年間ベースのEAC単独では時間一致が担保されないため、そのままでは十分とは見なされません。小売電力についても、時間別のトラッキングと証書の裏付けがあれば活用余地はあるものの、実態としてはPPAと証書、データ基盤を組み合わせたハイブリッド型の調達が前提となっています。すなわち、手段ではなく「時間・場所・供給の整合性」を満たすかどうかが評価軸であり、調達スキーム全体の設計が問われる構造となっています。
需要側にも求められる対応
Googleは供給側の調達だけでなく、需要側の最適化も重要な要素として位置付けています。具体的には、データ処理の時間シフトや需要応答を通じて、電力消費を低炭素時間帯に移動させる取り組みを進めています。
これは、アワリーマッチングを導入しようとする企業にとって重要な示唆です。再エネを「どれだけ使うか」ではなく「いつ使うか」が問われる中、需要パターンの変更が不可欠となります。一方で、業務制約やユーザー要求との調整が必要となるため、単純な導入は難しく、実務上のハードルも高いと考えられます。
技術・市場の未整備という壁
同社は、時間一致を進める上での課題として、再エネ供給の不足に加え、系統接続の遅延や市場の分断、規制上の制約を挙げています。また、AIの普及による電力需要の急増も、脱炭素化との両立を難しくしています。
これに対し、時間単位で電力属性を管理するT-EAC(時間ベース証書)の導入や、地熱・小型原子炉などの調整可能電源への投資、リアルタイム排出データの整備など、多面的な対応を進めています。さらに、欧州ではGranular GOの導入促進など、制度設計そのものへの関与も強めています。
中長期的な方向性と示唆
同社は、80%を超える時間一致が電力システム全体の脱炭素化に意味を持つ転換点になると位置付けています。今後は、再エネと蓄電池、調整電源を組み合わせたポートフォリオ型の電源構成が不可欠になると見られます。
ここで特に重要なのは、日本の位置づけです。日本は約17%という水準にとどまり、追加性のある再エネ電源を前提としたアワリーマッチング対応は極めて難易度が高い市場です。これは単に再エネが不足しているだけでなく、土地制約、系統接続、制度設計、PPA市場の成熟度などが複合的に影響しているためです。
そのため、日本企業がアワリーマッチングを志向する場合、追加性のあるコーポレートPPAの締結は避けて通れない選択肢となります。しかし現実には、Googleのような資本力と技術力を持つ企業であっても苦戦していることから、同様の取り組みを単独で実現することは容易ではありません。需要側の調整、複数電源の組み合わせ、証書の活用、さらには市場や制度への関与まで含めた総合的な戦略が求められます。
日本企業にとっては、これは単なる調達手法の選択ではなく、電力の使い方そのものを再設計する挑戦です。厳しい条件下においても、需要シフトやデータ活用、共同調達などの工夫を重ねながら、段階的に時間一致の精度を高めていくことが現実的なアプローチとなると考えられます。
ニュース記事一覧へ>>
